人生読本~20代からの読書日記~: 8月 2016

2016年8月30日火曜日

「成功したけりゃ、脳に「一流のウソ」を語れ」西田 文郎著




●書名・・・成功したけりゃ、脳に「一流のウソ」を語れ
●著者・・・西田 文郎著
●価格・・・1400円+税


ウソ、というと世間的にはかなりネガティブな印象の言葉だと思います。
しかしこの本で取り扱う「ウソ」はそういうものではなく、むしろ人生を好転させるために役に立つ非常にポジティブなウソです。


ウソというのは「事実と違うこと」です。
もう少し広くとらえると「現状と違うこと」「今の認識と違うこと」ともいえます。


これは
・現状と違うこと→目標など
・今の認識と違うこと→物事のとらえかた、視点
ともいうことができ、これらをうまく使うことで自分の能力を向上させたり今より大幅に成果をあげることができるようになります。


この本にはそんな「ウソ」を使った方法がたくさん紹介されています。




①予言の自己成就


なんだか難しい言葉ですが、簡単に言うと人間はたとえ根拠がなくても何かを心から信じると現状とのギャップを埋めるためにその信じたものに沿った行動をとるようになるということです。
最初に大きな目標を立ててそれに向けた小さな目標を立て実行していくことなどがこれに当てはまります。極端な話、目標を立てた段階ではその目標は現実ではないのですから「ウソ」となります。


スポーツ選手などのイメージトレーニングも同様です。
人間の脳は現実とイメージを区別できないという特徴があるので、繰り返し具体的にイメージし続けることで現実をイメージに近づけるためにいつしかイメージの通り振る舞うようになり現実を引き寄せることができるのです。


②クリアリング


人間の脳はたとえ何度マイナス思考になっても、最後の一回でプラス思考になればそれまでのマイナスが帳消しになりプラスの感情を抱くという強烈な特徴を持っているそうで、これを「クリアリング」と呼びます。
つまりこの特徴を使えばどんなときでも思考をプラスの状態に切り替えることができます。


とはいえいざマイナス思考になってしまうとなかなかプラスのことは考えにくくなってしまいます。
そんなときのために、自分専用の「クリアリング・ワード」を決めておくとマイナス思考に対抗しやすいそうです。
クリアリング・ワードは強く、短く口にできるものを選び、それを言えば気分が切り替わると自分の脳に「ウソ」を信じ込ませることで、いつでもプラス思考に持っていくことができます。


あと、目標の言葉の最後に「~なんてチョロイ」と付け加えるのも大変さや困難なイメージを打ち消す良い言葉だそうです。


③脳は「具体的でイキイキとした思い」をインプットされた時だけ、その実現に向かってフルパワーで動き出すメカニズムになっている。


「幸せになりたい」という思いは僕たち全員が持っていると思います。しかしこのような目標は決して達成されることはありません。
なぜなら何をもって「幸せ」とするのかは誰にもわからないからです。つまり、具体性に欠けるのです。


では具体的ならいいのかというと、それだけでも目標は達成されません。
たとえば「今月の売上目標は2000万円」などという目標は確かに具体的なのですが、それだけだとただの数字としか認識できず脳はワクワクしないのです。すると自分たちの能力を引き出すことができずに、目標は達成されません。


僕たちの脳は「具体的で、イキイキとした思い」のある目標を与えられた時にこそ、僕たち自身の能力を無限に引き出してくれるスーパーツールとなるのです。




人間の脳とは不思議なもので、素晴らしい力を持っているのですがその扱い方が難しい。
しかしその脳を「ウソ」という“現実ではない”手段を使って操り、さまざまな望ましい“現実”を作る方法をこの本は教えてくれます。


他人に迷惑をかける「悪いウソ」はいけませんが、自分も周りも幸せにする「良いウソ」をどんどんついて、自分の脳に刷り込んでいきましょう。



2016年8月24日水曜日

「大局観」羽生 善治著


●書名・・・大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)
●著者・・・羽生 善治著
●価格・・・800円+税


「大局観」とは少し耳慣れない言葉ですが、「大局を見る」などと使われるように物事を部分ではなく全体として俯瞰して見るといったところでしょうか。


著者の羽生善治さんは言わずと知れた将棋の名人ですね。この「大局観」の他にも「決断力」や「直観力」など様々な本を書いています。


将棋では部分部分の駆け引きだけではなく盤面全体のことも考えて戦っていかなければなりませんから、自然とこの「大局観」が重要になってきます。
しかし羽生さんの言っている「大局観」とは、実際には盤面のみにとどまらず勝負の前後、もはや将棋以外の場面のことも含まれています。応用が利くとかいう話ではなく、この場合それらを含めてなお将棋に戻ることなのでしょう。


そんな「大局観」ですから、もちろん日常でも非常に重要な考え方と言えます。


①同じ戦法を手堅くとり続けるということは、一見すると最も安全なやり方のように思えるが、長いスパンで考えたら、実は最もリスキーなやり方


現在の将棋界はもちろん以前より情報化が進んでいるため、なにか画期的な戦法があってもすぐに研究され対策を立てられてしまうそうです。時間が経つほどこの研究は進むので、同じ戦法をとり続けるとそれだけより多くの対策が立てられることにもなります。これに対抗するためには、常に新しい戦法を研究し使っていくしかありません。


これは日常生活でも同様です。
意識しないと人間はその日の行動の約8割が昨日と同じだと言われています。


あまり気に入らなくともただ安定しているという理由だけでいつも同じ仕事をしている人も多いでしょう。
しかしとかく変化の多い現代、いつ何が起こるか誰にもわかりません。急に今の仕事がなくなるかもしれないし自身が体調を崩すことも十分考えられます。こんなとき、それまで少しも挑戦することがなかったとしたら、使える手札は限りなく少なくなってしまいます。


こういう“本当のリスク”を避けるためにも、普段からすこしずつでも新しいことに挑戦し、自らリスクをとっていく必要があるのです。


②「大局観」では「終わりの局面」をイメージする。最終的に「こうなるのではないか」という仮定を作り、そこに「論理を合わせていく」ということ


将棋はスタートの形が常に同じで、相手と一手ずつ指していくことも同じで、指せる手は無限にあります。
そのなかでお互いただやみくもに指していったのでは勝負の流れも見えず行き当たりばったりの内容になってしまうでしょう。


「大局観」の世界では、まずだいたいの勝負の方向性を想像し、そこに向かってこれからの手を考えていきます。簡単に言えば自分の「勝ち」を想像し、そのために必要な手を指していきます。


これも将棋に限ったことではありません。
よくある目標管理などもその目標を達成するためにどうしたらいいかなどを考えていきますが、その目標さえも最終的に到達したい点から逆算して考えていく必要があります。
もちろんその考えた通りにすべての物事が進むわけではないので途中修正は必要になるでしょうが、それも最終的な目標がしっかり定まっていればある一定の範囲内で収まるはずです。


このように物理的な全体像だけでなく時間的に先まで見越すことも、重要な「大局観」と言えるのです。


③所有しているすべてのモノは借り物で、いつかは返さなければならない


これは羽生さんが映画「アバター」を観て着想した考え方だそうです。


最近では何もしなくてもどんどん物が増えて、自分たちの空間を侵食してきます。そうすると物理的に汚れもたまりやすくなるし生活も停滞していきがちになります。それを防ぐには増えた分物を減らして流動性を保つことが必要なのですが、やはりどうしても物を捨てるのは簡単にはできません。


そんな時「アバター」を観てこの考え方に至り、物を手放しやすくなったそうです。


実際僕もなにか不用品を捨てるときにこれを思い出し「世界に返さなくてはいけない」と思うことで以前より素直に物を片付けることができるようになりました。
自分の管理能力を超えて物を所有しても有効に使えなかったり部屋の隅でほこりをかぶっていたりとその物に対しても失礼ですからね。




以上のように「大局観」は様々なことを考える上で基盤になります。
僕たちも“自分の盤面”だけでなくもっと広い視野で物事を考えられるような「大局観」を養いたいものです。



2016年8月15日月曜日

「レバレッジ・シンキング」本田 直之著



●書名・・・レバレッジ・シンキング 無限大の成果を生み出す4つの自己投資術
●著者・・・本田 直之
●価格・・・1450円+税


今回は「レバレッジ・リーディング」など多数のベストセラーを書かれている本田直之さんの著書です。
本田さんによればこの「レバレッジ・シンキング」とは他のレバレッジシリーズの上位概念で、これを理解することで他のシリーズもより深く理解することができるそうです。


「レバレッジ」とは「てこの原理」のことです。
つまりこの本では、“てこ”のようになるべく少ない労力でより大きな成果を出すための考え方を説明しています。
本文ではこれを「Doing more with less(略してDMWL)」と表現し「DMWLを実践する」ために意識すべきことを「労力」「時間」「知識」「人脈」に分けて説明しています。


①パーソナル・キャピタル(自分資産)は再投資によって加速度的に増える


パーソナル・キャピタル(自分資産)とは自分の「労力資産」「時間資産」「知識資産」「人脈資産」のことで、自己投資によってこれらを構築し、これにレバレッジがかかることで不労所得的に成果が上がっていきます。


どういうことかというと、まず自分資産を増やすことで一定の成果が上がります。たとえばこの成果が時間短縮なら、その短縮した時間の分を再び自分資産構築に回すことでさらに大きな成果をあげることができるようになります。


これは銀行預金などに例えると「複利」のようなものです。増えた利息をそのままにせず、利息分も上乗せして再び運用することで成果は加速度的に上がっていきます。


これと同じように、パーソナル・キャピタルにレバレッジをかけることによって、労力や時間を減らし成果や収入を上げることができるのです。


②時間がないから成果が上がらないのではない。時間が“ある”から成果が上がらないのだ。


知識労働社会に入り、仕事にかけられる時間には際限がなくなりました。かけようと思えばいくらでもかけられるのです。
とはいえ、それではどこまでやれば満足できる仕事ができたのかも判断できないため、自分で期限や基準を決める必要があるのです。


多くの人は時間をかけるほど成果も上がると考えるようですが、実際はある程度成果が上がったらそこから先は一定の成果しか上がりません。
逆にレバレッジをかければ、短時間でも大きな成果をあげることはできるのです。


誰しも、一ヶ月終わらなかった夏休みの宿題を最後の数日で終わらせたことはあると思います。


③知識への投資は単なる勉強ではなく投資なのだからリターンを得るために行う行為


自分の能力をあげたり成果をあげられるようにするために本などを読んで勉強することは大切な知識への投資です。


しかしここで気を付けなくてはいけないのは、例えば本ならば読んだ内容を読んだだけで終わらせないようにしなければならないということです。


文学作品など自身の楽しみのために行う読書なら読んで「楽しかった」で終わらせてもいいでしょうが、自分資産を増やすための読書ならそれではいけません。
本というのは、読んだ内容を実践してこそ意味があるのです。実践するからこそレバレッジがかかり成果につながるのです。


本は読んだだけで終わらせたら約1500円の消費です。しかしそこから金額以上の成果を出せば、1500円は「投資」になるのです。


それに実践した方が、その本の内容をより深く理解できますからね。




このように、とにかくなるべく少ない労力でより大きな成果をあげるDMWLに焦点を当てた内容で、他の本を読んだり仕事をする際にも非常に参考になる一冊です。


あとはこれを実践できるかどうかが、自分にレバレッジがかかるかどうかの分かれ道になります。





関連書籍記事
「レバレッジ勉強法」本田 直之著
「レバレッジ時間術 ノーリスク・ハイリターンの成功原則」本田 直之著

2016年8月14日日曜日

「「仕組み」仕事術」泉 正人著


●書名・・・最少の時間と労力で最大の成果を出す 「仕組み」仕事術
●著者・・・泉 正人
●価格・・・1300円+税


今回はこちら。
タイトルからも分かる通り、ある「仕組み」を使うことによって仕事の効率を上げることに焦点を当てた本です。


この本で言う「仕組み」とは、ざっくり言えば主に“チェックリスト”のことです。ToDoリストともよく言われますね。


概要としては、まず仕事を「作業系」と「考える系」に分けます。たいていの仕事はこの二種類に分解することができるのですが、このうち今後の自分の将来を劇的に向上させる可能性があるのは「考える系」の仕事です。しかしもちろん「作業系」の仕事もないがしろにしていいわけではありません。
そこでこの本では「作業系」の仕事にチェックリストを活用し効率的に処理し時間を短縮することで、「考える系」の仕事に使う時間を捻出しようという考え方なのです。




①「仕組み」とは「誰が、いつ、何度やっても、同じ結果が出せるシステム」のこと


組織で働いていれば上司もいるし部下もいるでしょう。上下関係がなくとも、今まで誰かがやっていた仕事を自分がやるようになったり逆に自分がやっていた仕事を誰かほかの人がやるようになることもあると思います。
このとき、もし人によってその仕事のクォリティが変わってしまうとしたら、なかなか安定した成果は出せませんしもしかしたらコストの方が大きくなるなんてこともあるかもしれません。


1人で働いている場合でもその時々によって気分の波があったりしますから、その都度仕事内容に影響が出てはなかなか成果は上がりません。


しかし具体的で明確な作業内容のチェックリストがあれば、このように仕事にムラが出るのを防ぐことができます。
少なくともチェックリスト通りに作業すれば、だれでも一定のレベルでの成果は出せるようになるのですから。


そして作業を繰り返していく中でチェックリストの内容も改善していくことで「同じ結果」の精度を高めていくことができます。


②「仕組み」づくりは、将来の自分の時間への投資


普段の仕事をしている中で「仕組み」づくりを行うとなると、これは単純に仕事が一つ増えたことになります。
しかも「仕組み」づくりとは、いつもの作業内容を逐一書き出し、整理し、効率的になるよう考えて並べ直し、実際仕事をしていく中でブラッシュアップしていかなければならないため結構な時間を費やす作業です。


しかし、です。


「仕組み」を作るほどの仕事なら今後何回も発生するような回数の多い仕事のはずです。


ということは、最初の一回で「仕組み」づくりをすることに時間を使えば今後その仕事をやるたびに今までかかってたより時間が短縮されていくので回を重ねるごとに短縮した時間が膨大になっていくはずです。


つまり、「仕組み」の段階で時間や労力を使うことは将来の自分の、そして同じ仕事をする周りの人間の時間を短縮し自由時間を増やすための投資ということができるのです。
この「仕組み」づくりをくり返すことによって捻出した時間を使い新たな仕事をすることで、私たちは新たなステージへ向かうことができるのです。


③才能に頼らない、意志の力に頼らない、記憶力に頼らない


この本の中で一貫して主張されているのがこの三点です。


気合や根性、やる気や才能に頼って仕事をするといつか必ず壁にぶち当たります。どこかで必ず成果を出すことができなくなります。もし成果を出すことができても、きっと疲れ切っていることでしょう。
組織で働いている人なら新人を教育することもあると思いますが、「仕組み」があることで新人ですらある程度の成果をあげることができるようになります。これが才能に頼っていたら誰も何もできない状態になってしまうでしょう。


また、記憶力に頼らないというのも重要な点です。


人間は忘れる生き物です。生きることに必要でないことはどんどん忘れていきます。
それにどんな細かいことでも思い出そうとすればエネルギーと手間を発生させます。
この“コスト”を避けるためにも、著者はあらゆることを記録しておくことを勧めています。


具体的には検索性の高いPCやEvernoteなどのアプリがありますが、チェックリストも同じでとにかく記録しておくことで内容を忘れた頃にやらなくてはならない仕事の手順を思い出す手間を省き、大幅に時間を短縮することができるのです。




以上のようにこの本では、「仕組み」を活用して仕事の時間を短縮し、空いた時間でさらに生産的な仕事をしたり人生を楽しむ方法を教えてくれます。


このような「仕組み」を活用して、自分の人生をどんどん加速させていきましょう。


2016年8月7日日曜日

「あなたの1日は27時間になる。」木村 聡子著


●書名・・・あなたの1日は27時間になる。
●著者・・・木村 聡子
●価格・・・1400円+税


1日の長さは人類全員24時間。なのにそれが27時間になるとはどういうことでしょうか?


今回はそれを成し遂げる不思議な方法を教えてくれる「あなたの1日は27時間になる。」をご紹介します。


この本の目的は、日々仕事に追われる生活時間を改善し自分のための3時間を作り出そうというものです。
その達成のために様々な方法を段階的に教えてくれます。


全体では大きく分けて1週間ずつ、計4週間で自分の生活や仕事のやり方を改善していけるよう書かれています。


1週目:1日のリズムを整える
2週目:仕事の渋滞をなくす
3週目:仕事環境を効率的にする
4週目:仕事をスピードアップさせる


このようにして「3時間」を作っていきます。


ではその中から具体的にいくつかご紹介します。


①1日10分の「前業」で人生が加速する
その日のうちに終わらなかった仕事を処理するために終業時間後に残業するという方は多いと思いますが、「前業」とは”残業時間の30分を始業前に仕事をする30分に変えましょう”といういわば先手の策です。


同じ就業時間外の仕事でも夜に行う「残業」では頭も体も疲れているし、なにより最悪終電までがタイムリミットとなるためだらだらと効率が悪くなりがちです。


これに対し「前業」なら疲労度も格段に少なく朝早いため外部からの邪魔もありません。そして何より「始業」というタイムリミットがあるため集中して仕事をしやすくなります。
さらに内容によっては前もって仕事の準備ができるため、その後の仕事自体もテンポよく運ぶことができるのです。


②「自分締め切り」を作り、仕事を追いかける
「仕事とは定められた期限まで膨張してしまう」ものだとよく言われていますが、このような体験は誰しもしたことがあると思います。
そしてすべての仕事には内容や相手によって定められた期限があるので、その通りにやっていると常に次の仕事開始まで前の仕事をやっていることになり時間に追われてるという感覚がかなり強くなります。また時間的な余裕がないために急な事態に対応できません。


そこで、与えられて期限を少し前倒しした「自分締め切り」を設けることで実際の期限前に自分にプレッシャーを与え時間に余裕を持たせることもできるのです。こうすることで周りからも締め切りの催促がなくなり、先手を打つことができるのです。


③1日1捨
整理整頓する最大のコツは、そもそも物を増やさないこと、そして減らすことです。
とはいえ現状物が多いからと言って大掃除のように一気に捨てるというイベントでは、その時の効果は大きいかもしれませんが負荷も大きくなかなか長続きしないものです。


そこで「1日1捨」。


要は、1日にひとつ必ず何かを捨てる、ということです。
これは使わなくなった”物”だけでなく、”儀式化していて意味がない習慣”を捨てることも含まれます。そうすることで効率化や時間の節約につながります。


この1日1捨を続けていくと、そもそも物を増やしそうなタイミングでも「これは本当に必要だろうか」と考えるようになり自分の目を鍛えることができます。


1ヶ月も続ければ、見違えるほど片付いていることでしょう。


④スピードアップの基本は「マニュアル」から
この本では、定期的に発生する仕事については必ずマニュアルを作るよう勧めています。
それは迷いや思考停止を吹っ切り、時間のロスを減らすことができるからです。


またマニュアル化することにより自分だけでなく他の人が作業しても一定の成果をあげることができるようになります。


マニュアルを作る場合、最初は作業しながら内容を箇条書きでメモしていきます。その際、ひとつづつの項目は出来るだけ具体的に、かつ単純な手順を書くようにします。
そして作業完了の後見直して、無駄な工程がないかやもっと効率化できないかチェックします。
またマニュアル作成時には「そんなこと常識で考えたらわかる」と思うようなことでも具体的に書いていきます。


このマニュアル作成作業は一つの手間になってしまうのですが、その時間はそのマニュアルを活用していくことで確実に短縮し元を取ることができます。


世間では「マニュアル通り」という言葉はあまり良い意味で使われませんが、マニュアルとは仕事をスピードアップさせてくれる重要なツールなのです。




今回は各週からそれぞれひとつづつピックアップしてご紹介したがこのほかにも実践的な方法がたくさん書かれています。


こうして作った「自分だけの3時間」を使いさらに勉強したり大切な人との時間を持つようにしたりして、人生をもっと充実させていきましょう!


2016年8月1日月曜日

「自分の時間 1日24時間でどう生きるか」アーノルド・ベネット著 渡部昇一訳


●書名・・・自分の時間 1日24時間でどう生きるか
●著者・・・アーノルド・ベネット
●価格・・・1200円+税


この本は1908年にイギリスで紹介された記事から始まった、内容としてはかなり古い部類に入る本だと思います。しかしそれだけ時間が経っても「1日24時間でどう生きるか」というテーマは、いまだに模索している人が多いのではないでしょうか。


本文は140ページほどでこの手の本としては少ないように感じるのですが、読むと己の(主に仕事以外の)時間を制する方法がまさに宝の山のように溢れています。




ではこれからその宝の一部をご紹介したいと思います。


①朝、目覚める。すると、不思議なことに、あなたの財布にはまっさらな24時間がぎっしりと詰まっている。


これはこの本の序盤でかなりしっかり述べられている考え方の基本みたいなものなのですが、個人的にはこの表現がかなり好きです。


我々はお金についてはある程度細かく自分の持っている範囲について考えるのですが、どうやら時間については違うようです。
1日には24時間しかない。そうわかっていても、その使い方を考えて迷っているうちにいつの間にか思考が停止してどんどん浪費している。常に「もう少し時間があったら」といいながら、その実24時間を充分に生きているわけではないのです。


著者は毎日の”時間の与えられ方”について「奇跡が起こっている」と言っています。


時間はお金とは違いだれも取ったり盗んだりできないし、全員平等に朝起きるとそこからの24時間という1日が始まります。そしてこれは誰からも取られないのと同様、自分でも前借することなどできません。
我々にできるのは、常に今目の前にある現在という時間を使っていくことだけ。


これまでにどれだけ時間を浪費していようと、これからの24時間は常に自分の前に用意されています。


この意味で著者は、「その気になればいつからだって新規巻き返しができる」と述べています。
そしてそれは「明日まで待つことすら、なんの意味もない」ことと同義です。


これらを意識したうえで1日24時間で健康も楽しみも、金も満足も尊敬も得ていかなければならないのですから、人生の全ては時間の利用の仕方次第で決まるのです。


②習慣を変えるなら、あまり大きなことは公言せず、さりげなく始めなさい。


ではいかにしてその時間を利用していくのか。
著者は主に仕事から帰った夜の時間で、何か精神を向上させるような意義のあることを継続してやっていくことを勧めています。


そして手始めに週に3回、90分ずつだけ興味のある分野の勉強などに費やすことでそのほかの時間も、仕事をしている時間さえも今までより情熱が湧き生き生きと暮らせるようになると述べています。


この週に3晩と毎朝30分、合わせて一週間で約7時間半をつかって自分の精神と頭脳を磨いていく作業は決して「ささやかな努力」ではありません。


これを今までの生活に組み込むためには習慣を変える必要があります。
ですが習慣を変える際、一気に変えようとすると最初は情熱にあふれているのですが、ある時疲れが一気に出てなんの成果も出る前に頓挫することにもなりかねません。


これを避けるためには、とにかくささやかなことから始めるのが重要なのです。


③よく読むと同時によく考えよ


上記にある夜の90分間でやることのひとつに読書がありますが、それについてこの著者は文学以外、特に詩を読むことを勧めています。その理由として、読書は頭を使って考えながら読むことで精神を向上させるからだそうです。


これは決して文学を下に見ているためではなく、質の高い文学作品ほど頭を使わなくても書かれている情景がありありと浮かんで楽しめてしまうからだそうです。


努力して読むからこそ糧になる、ということです。








このように「自分の時間」には短めな本文に対し我々の生活に応用できる知識が豊富に書かれています。


書かれた当初、1908年のロンドン市民も毎日時間に追われ大変だったのでしょうが、21世紀の現代人こそ「自分の時間」についてもっと真剣に考えるべきなのではないでしょうか。