人生読本~20代からの読書日記~: 「遅読家のための読書術」印南 敦史 著

2016年5月21日土曜日

「遅読家のための読書術」印南 敦史 著



書名・・・遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣
著者・・・印南 敦史
●価格
・・・1400円+税

遅読家、というとなかなか耳慣れない言葉ですが、帯にもある通りこの本の著者である印南さんはもともと1ページ読むのに5分10分かかってしまうかなりの遅読家だったそうです。

それが今では月に60本ほどのレビュー記事を書く書評家になったということで、この本では著者自身が遅読家を克服した様々な読書術や考え方が載っています。


そのなかからいくつか僕が気に入ったものをご紹介します。



「音楽を聴くように本が読める」状態を作る・・・フロー・リーディング



従来の「知識を頭に貯蔵する」ストック型の読書が遅読家を生む一因になっていると印南さんは書かれています。本は一字一句しっかり読み、その考えのすべてを理解しようという「熟読の呪縛」によって世の「積ん読」が増えているようです。

これに対して、まるで音楽を聴くように「その本に書かれた内容が、自分の内部を流れていくことに価値を見出す読書法」がフロー・リーディングです。



音楽ライターもなさっていた著者だからこその独特な考え方かもしれませんが、普段音楽を聴くときに一音一音正確に聞き取りすべてのメロディの意味を考えながら聴いている人はほとんどいないと思います。それと同じように読書も内容を体に流すこと自体を楽しむように読み、その中で特に印象に残った部分を大切にしていくような感じでしょうか。

このフロー・リーディングは膨大な情報量があふれている現代に適応した読み方なのだろうと思います。

このように少し気楽に考えることで読書へのハードルが下がり、最終的な読書量はかなり増やせそうです。



読書は呼吸



これ、実は僕がこの本の中で一番気に入っている箇所なんです。

読書とは呼吸と同じで吸う(読む)だけでは苦しくて当たり前で吐く(書く等のアウトプット)も必要だというのです。

とにかく情報のあふれているこの時代、読んだ内容の全てを覚えようとしても大変なだけで、それなら外側に書き写してしまえばいい。それにそうすれば書き写したものがあるわけですからそもそも覚える必要もなくさらに読書のハードルが低くなり次が読みやすくなります。

これは今後もかなり大事にしたい考え方です。




1ライン・サンプリング



というわけでの吐く行為を具体的に行う一つの例が1ライン・サンプリングです。

A4
用紙を用意し、読書をしながらその紙に気になった箇所をどんどん書き写していきます。

僕も同じなのですが、著者は本に書き込みをしたりページの角を折ったりというのがあまり好きではないそうです。単純に本を汚すのが好きじゃないということと、200ページ近い本文の中に書き込みをしたところで結局忘れてしまうからだそうです。


その点この1ライン・サンプリングなら読んだ本のハイライト集がA4にまとまっているわけですから、後から読み返すのも大変楽になります。


このように人が基本的に物事を忘れてく生き物であることや情報過多な時代を背景に、具体的な読書術が数多く書かれています。

これを機に本を読むという行為をもう少し気楽に考え、多読に挑戦してみてもいいかもしれません。

きっと、いろんな情報に触れるスピードがこれまでと段違いになるはずです。

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