人生読本~20代からの読書日記~: 「精神科医が教える 読んだら忘れない読書術」樺沢 紫苑 著

2016年5月28日土曜日

「精神科医が教える 読んだら忘れない読書術」樺沢 紫苑 著




●書名・・・読んだら忘れない読書術
●著者・・・樺沢 紫苑
●価格・・・1500円+税


読んだら忘れない読書術。是非覚えたいですねぇ。


この本は精神科医である著者が専門家、また日々40万人に情報を発信し続ける「SNSの超プロ」という観点から読書について書かれた本です。


読書に対する重要な考え方やいくつも具体的な読書術が書かれているのですが、その中から僕が気になった3点をご紹介します。




①「できる奴」というのは、日頃から読書をして頭の中に「キッチンスタジアム」を構築している。



これだけだと何言ってんだって感じですが・・・


「キッチンスタジアム」というのをご存知でしょうか?
昔「料理の鉄人」という番組がやっていました。キッチンスタジアムという会場で各ジャンルの”料理の鉄人”という料理人たちと挑戦者が制限時間内に決められたテーマで料理を作りその腕を競うという内容で、当時子供だった僕も夢中になって観ていた記憶があります。
このキッチンスタジアムにはその時々のテーマに沿った多くの新鮮な食材や完璧な設備が用意されており、鉄人や挑戦者はそれらを使い制限時間内にいくつもの料理を作り上げます。


しかしもしこの会場に食材も設備もなければ、どんなに料理が上手な人でもまず食材の買い出しから始めなければなりません。それではとても制限時間内に料理をすべて作ることは不可能でしょう。


これと同じように大多数の「できない人」は、自分の頭の中に自分の仕事についてのキッチンスタジアム、つまり情報や方法論を用意していないため仕事が遅かったり瞬時に反応できなかったります。これに対して「できる奴」は日頃からさまざまな読書をし頭の中に自分専用のキッチンスタジアムを用意しているので、どんな仕事もそつなくこなし評価を上げていくのです。
このように読書をすることで自分の仕事に大きくプラスの影響を与えることができます。




②1週間に3回アウトプットすると記憶される。



記憶をするのに一番効果的な方法は、何事も反復することです。


しかしとかく情報が溢れ返っている社会において、人間の脳は入ってきた情報を選別し基本的にはどんどん忘れていくようプログラムされています。
脳が選別するにあたり記憶に残しておこうとする情報とは「よく利用される情報」「大きく感情が動いた情報」の2種類あるそうです。


そこで、反復です。


さまざまな脳研究によると1週間のうちで3~4回アウトプットすることでその情報は脳の中の仮置き場的な部位から保存する部位に移されるそうです。


つまり読書した内容を忘れないためには、読んだ後1週間で3回ほどアウトプットすれば記憶への定着率が高まるということです。


具体的には読んだ内容をメモしたり他人に本の内容を話したりこのブログのようにネットで公開したりと、さまざまな方法があります。


せっかくお金を出して買い、時間をかけて読むのですから、記憶にはしっかりととどめておきたいものです。




③読んだ本の感想をSNSに投稿する「ソーシャル読書術」



上記のアウトプットの一種なのですが、読んだ本の感想や気に入った個所の引用、名言などをTwitterやfacebookなどに投稿して公開する方法です。


このようにネットにアップすると、一人で読んでメモなどをしている時とは違い周りの人達から反応があったりして読書とはまた別の楽しさがあったりします。


この「楽しい」というのも非常に重要で、人間は基本的に楽しくないことはなかなか続けられません。その点このソーシャル読書術なら比較的手軽で楽しみながらやれるのでかなり習慣化しやすいと思います。それはつまり、継続的に忘れない読書術を行うことができるということです。
また上記でも少し触れましたが「大きく感情が動いた情報」というのも記憶に残りやすい情報の条件なので、楽しんでアウトプットしていればそれそのものが読書の内容をさらに忘れにくくしてくれるのです。






このようにこの「読んだら忘れない読書術」には具体的な読書術が数多く載っていて、どれも有用なものばかりです。




ただ僕は「なぜ精神科医が読書術の本など書いたのか?」という疑問を持っていました。
疑問というか、読書についての本として新たな切り口なのだろうくらいに思っていました。


しかし本文中で執筆の動機を見つけて、感動してしまいました。


それは


「病気にならない知識、病気の予防につながる知識、病気を治す方法を一人でも多くの人に知ってもらうために、読書を習慣にする人を増やし、日本人の読書量を増やすため」


だったのです。


最近の統計では日本人の約半分が、漫画や雑誌以外の読書をしないそうです。読む人でも1~2冊という人が34%ほどで、ここまでで日本人の約80%。
その数少ない読む本の中に健康に関する内容の本が選ばれる可能性はさらに低い。


このように普段あまり本を読まない人が病気になったときに急にその病気についての本を読むということはかなり難しいようです。なにしろ読書習慣がない上に緊急事態でいつも通りの思考もなかなかできない状況ですから。


実際自身の精神科で冊子を渡してもなかなか読んでもらえないそうです。


ただ読んで対処法がわかるだけでも人間のストレスは大幅に減少するそうなのですが、普段から読まない人はもちろんそんなことも知りません。


なのでその根本を改善するために読書術の本を書いた、ということのようです。


これに関しては僕ももちろん他人事じゃありませんし、今回この本を読んだことで改めて知ることができました。




この本は読書術の内容はもちろんですが、日本人をもっと健康にしたいという医師の想いがそのまま伝わってくるような、そんな強い力を持った一冊です。


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