人生読本~20代からの読書日記~: 2月 2018

2018年2月15日木曜日

「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」佐藤 航陽著

今回の本はこちら。



●書名・・・お金2.0 新しい経済のルールと生き方
●著者・・・佐藤 航陽


タイトルの「お金2.0」とは既存の「お金」ではなくその先のお金。

僕たちが普段使う「お金」とは違う、新しい概念としての「お金」です。

「お金」とはそもそも価値を交換するツール(道具)でしたが、テクノロジーの進化や社会の変化によりその役割は変わりつつあります。

お金のためではなく、価値のために働く


最初お金は、移動させるのが難しい「価値」を持ち運びやすくするために生まれました。

生鮮食品や農作物などの価値は持ち運びも大変だし時間と共に腐ったりして毀損してしまいます。

それら保管の難しい「価値」を一時的に「お金」に変えることでまた別の「価値」と交換しやすくする大変便利な道具でした。


それから時代は進み、今僕たちは「お金」を得るために働き、その労働で得た「お金」を「価値」と交換して生活しています。

しかしインターネットなどのテクノロジーの進化により、それまでは保管や移動が難しかった「価値」を容易に移動させたりできるようになったためこの状況は劇的に変わろうとしています。

これからは己の価値を高めるため、また他人に与える価値を増やすために働くことが重要な時代になってきたのです。


テクノロジーの進化により「お金」は「絶対的な価値」ではなくなってきている


そもそも価値というのは目に見えにくいため、現物としてわかりやすい「お金」などが単純に「価値」として認められてきました。

しかしSNSなどの普及により実際にはまだお金は発生していなくとも、「注目度」や「感情」などの価値が徐々に可視化されてきました。

こうなると、これまでの資本主義経済では見えにくいため"存在しない"とされてきた「価値」も存在するものになり、それこそ「お金」と交換することも出来るようになります。


また、自分が生み出した「価値」を他の「価値」と直接交換することも出来るようになるため「お金」そのものが必要なくなる可能性もあります。

もちろんお金にも利便性はありますから存在はし続けるでしょうが、他に価値を媒介する手段が生まれたりそもそも価値のために働いたりと、これからの社会では「お金」だけが絶対的な価値ではなくなっていくでしょう。


「価値」を「お金」に転換する


例えばTwitterのフォロワーや、Youtubeの再生回数や視聴者数。

これらの数が多いことはつまりその人が注目を集めているということですが、この”注目度”というのもそのまま価値です。

見てくれる人が多ければ広告収入も発生させられますし、自分のわからないことなどを質問すれば多くの人が答えを教えてくれたりもするでしょう。


また、素晴らしい事業や企画というものもこれまでは実行するのに最初から大きな資本が必要で困難な場合もありましたが、これからはクラウドファンディングなどで広く資金を集めることも可能になります。

これもその企画に賛同したり期待したりという、感情という”価値”をお金に換えているのです。

テクノロジーが進化したことで、誰にでも「価値」を「お金」に換える道が開かれた時代になったのです。


まとめ


テクノロジーの進化により「価値」を「お金」と交換することが容易になりました。

つまり相対的にお金そのものの価値は下がってきているといえます。

また、価値を高めることで結果的に多くのお金を稼ぐことができるので、これからの仕事を選ぶ基準もこれまでとは変わってきます。

自分がとにかく情熱を燃やせるものを追いかけるのが、これからの時代の働き方になるでしょう。

なんだか「お金2.0」というタイトルとは少し離れた内容に感じるかもしれませんが、それこそが「お金2.0」という”今のお金の先を行くお金”なのです。


今回はお金と価値という点からこの本について紹介しましたが、この「お金2.0」ではほかにも「自ら発展する経済圏の作り方」や「自立分散」、「価値主義」といったこれからの世界を理解する上で重要な事柄についても数多く書かれています。

決して難しく書かれているわけではありませんが、時代の流れを見通すために必読の一冊です。






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