人生読本~20代からの読書日記~: 1月 2018

2018年1月29日月曜日

「ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉」リンダ・グラットン著 池村 千秋訳

今回の本はこちら。



●書名・・・ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
●著者・・・リンダ・グラットン


これからの「良い未来」を選び取るために、我々は"働き方の3つのシフト"を行わなくてはならない


昨今のテクノロジーの進化や社会の発展には目を見張るものがあります。

しかし、この社会の変化に対しただ受け身の態勢でいたのでは、未来は暗く悪い方へと変化していってしまいます。

逆に良い未来に変化させていくためには、我々がこれまでの働き方をシフト、つまり変えていかなくてはなりません。

そのシフトとは

  1. ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
  2. 孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
  3. 大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ

という、3つのシフトです。


ではなぜ、これらのシフトをする必要があるのでしょうか。


テクノロジーの進化や社会の変化により、未来の生活が変わっていく


未来が変化していく要因は主に5つあります。

  1. テクノロジーの進化
  2. グローバル化の進展
  3. 人口構成の変化と長寿化
  4. 社会の変化
  5. エネルギー・環境問題の深刻化

過去から現在に変化した時にもこの5つの要因は作用しましたが、今後はさらに早いスピードかつ世界規模で影響を及ぼしてきます。

例えば、テクノロジーの進化として最近ではインターネットの普及が大きなものですが、これによりグローバル化も進みましたし社会のスピード感が急に速くなりました。

また、エネルギー問題は世界の喫緊の課題ですし、今後の生活にも大きく影響してくるでしょう。

これらの要因により変化していく社会で、より良い未来を選び取るためには先に紹介した"働き方の3つのシフト"が必要になってきます。


同じ要因から別の未来が待っている


未来が変化していく要因からどんな結果が予想されるのでしょうか。

例えば将来テクノロジーの進化によりネット通信はより容易なものになり、AIによる言語の同時通訳も進むでしょう。

さらにエネルギーの枯渇により消費量が制限され、車や電車による移動もかなり高コストになると予想されます。

これらのことから未来では、家に居ながらにしてネットを通じ世界中の人と仕事をする人が増えていくでしょう。

これは簡単かつ低コストで世界中の専門家とコミュニティを作れる反面、下手をすると各個人の生活がとても孤独で寂しいものになる可能性もはらんでいます。

このようにいくつもある未来の可能性の中で、自らの意思で「良い未来」を選び取ることが重要になってきます。


まとめ


これからの社会はこれまでよりもさらに大きく変化していきます。

そして様々な可能性がある未来の中で「良い未来」を選び取るためには、「働き方の3つのシフト」が必要になってきます。
  1. ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
  2. 孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
  3. 大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
これらのシフトを主体的に行うことで、より「良い未来」を選ぶことが可能になります。


この「ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉」では、これら働き方の3つのシフトや未来が変化する5つの要因についてかなり詳細に書かれています。

また、この変化を含めたいくつもの未来を、2025年におけるいろんな国の架空の人物の生活を紹介することでわかりやすく説明しています。

架空といっても、どれも今の世界から続いた現実味のある予想ばかり。
自分のこれからの生活にも大いに参考になるものばかりです。


未来は誰の前にも広がっていますが、ただ漫然と迎えるだけではそこには暗い未来が待っています。

大事なのは選択肢をよく理解し、自分で主体的に選び取っていくこと。


この本はその主体性の重要性やいま世界で起こりつつある変化も理解しやすくなる、この時代の変わり目に必読の1冊です。



2018年1月21日日曜日

「未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる」ちきりん著

今回の本はこちら。



●書名・・・未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる
●著者・・・ちきりん


ブロガーや文筆家として人気のちきりんさんによる、これからの働き方についての本です。

ちきりんさん自身はじめは証券会社で働いていて今はブロガーになっているように働き方を変えた1人ですが、これからは誰もがそういう"働き方を変える"可能性を考えて生きていく必要があるとこの本では書かれています。


職業人生は二回ある


従来の働き方では、例えば新卒でどこかの企業に就職し定年までそこで勤め上げ、老後は悠々自適に暮らす…というような、一生涯でひとつの場所で働き続けるというスタイルが主流でした。

しかしこれからの時代もこの従来型のスタイルが最適かというと、必ずしもそうではありません。

ならばいっそ最初から「職業人生は二回ある」と考え、どこかで働き方を変える選択肢を織り込んで働くことをちきりんさんは推奨しています。

ではなぜ従来型の"一生涯ひとつの場所で働き続ける"というスタイルが最適ではなくなったのでしょうか?


長寿化と社会の変化で「一生ひとつの仕事」は非現実的になった


医療技術の発達などから先進国を始めどの国でも寿命が延び、長寿化・高齢化が進んでいます。

それに伴い定年の時期が引き上げられたりはしていますが、それでも従来型の働き方ではいわゆる"老後"という期間が延びその分の生活費などもかさんでいきます。

しかしお金を稼ぐために単純に働く期間を延ばせるかというと、体力的にも衰えているのでそれもなかなか難しい。

70代になってから30代や40代の時と同じ仕事をフルタイムでやる…というのは、正直ほんの一握りの人にしかできないと思います。

そのうえ高齢まで働くほど、自由を期待した"老後"は短くなり、体力も衰えそのわずかな自由すら謳歌することが出来なくなるかもしれません。


またこれからの時代、どんな大企業であっても自分が定年退職するまで無事に存続しているかは保証できません。

自分の人生の大事な時に急に働いている企業が潰れたりリストラされ、予期せぬタイミングで途方に暮れるということもあながち他人事ではないのです。


このように"一生涯ひとつの場所で働き続ける"というスタイルが時代にそぐわなくなった今、もっと働き方を柔軟に考える重要性が増してきているのです。


大企業に所属することへの価値観も変わってきた


企業や社会だけでなく、働く人たちの心・価値観も変わってきました。

その企業で働きたいと思うのは当然その人にとってメリットがあるからですが、何をメリットとするのかは、時代と共に大きく変化してきているようです。

例えば昔から大企業で働きたいという人が多いのは、報酬が高かったり企業名によって周りからの評判が良かったり、企業として安定していて潰れにくいということにメリットを感じた人が多かったからです。

しかし最近では、

・いくら報酬が高くても拘束時間が長すぎる(自分の時間を優先したい)
・その企業を辞めたからといって周りからの評判が落ちるかといえば、必ずしもそうではない
・どんな企業も絶対安心ということはない

など、その人の求めることの優先順位が変わったり社会のイメージが変わったり、メリットそのものが確実なものでなくなったりしています。


このような人が増えている現代ではこれまでの"大企業"はそこまで魅力を感じる存在ではなくなり、逆により柔軟な働き方を認めている企業に人気が集まることもあるのです。


まとめ


社会はどんどん変化しています。

しかもその変化のスピードは年々加速し、ほんの少し未来のことを予測することすら本当に難しくなっています。

そんな時代に「一生ひとつの仕事」を続けるというのは、リスクも大きいしなにより"本当に続けられるのか"も誰にもわかりません。

だったら、最初から"途中で働き方を変える"と思って働き始めましょう。

二回目は一回目よりも多くのことを経験している分、きっとより良い働き方が出来るはずです。

別に二回に限らなくてもいいし、同じ仕事でも働くリズムを変えるなどやり方はいろいろあります。

大事なことは、自分がどういう風に働いていたいのか、自分で主体的に考えることです。

時代は進み、個人の選べる選択肢は増えました。


いまいちど、本当はどういう生き方を望んでいるのか、しっかり自分と向き合って考えていきましょう。