人生読本~20代からの読書日記~: 7月 2016

2016年7月24日日曜日

「頭は「本の読み方」で磨かれる」茂木健一郎著




●書名・・・頭は「本の読み方」で磨かれる
●著者・・・茂木 健一郎
●価格・・・1300円+税


今回は著名な脳科学者、茂木健一郎さんの本です。


タイトルからもわかるように本を読むことについての本なのですが、読んでみると茂木さんご本人がいかに本や読書が好きかということが伝わってくるような感情溢れる内容になっています。
もちろん専門である脳科学者としての見地から様々な論説や科学的な現象も交えて書かれていますが、一冊通して茂木さんの本への愛が感じられます。


それでは一部、僕が気になった箇所をご紹介します。


①読んだ本の数だけ、高いところから世界が見える。


本を読むとどんないいことがあるのかという質問に対して、茂木さんは「読んだ本の数だけ、高いところから世界が見える」と答えています。


これは読んだ本を足場に例えて、これまでに読んだ冊数を足場の高さ、読んだジャンルを足場の幅と見立て、そこから世界を俯瞰することができるということです。
様々な本を読むことでそれまでの自分だけの世界観からはわからなかった視点から世界を見ることができるようになるわけですね。


これを脳科学的に「脳の側頭連合野にデータが蓄積されていく」とも表現しています。
側頭連合野とはその人の経験をストックする場所だそうで、本を読むことで他人の経験や考え方を自分の経験として蓄積することができるのです。


こうして経験値を増やすことで、様々な視点から世界を見渡すことができるのです。
これまで偉大な発見をしてきた科学者や多くの作品を書いてきた作家なども、みなこのように「巨人の肩に乗って」新たなアイデアを思いついていったのです。


②好きなことにのめりこんでしまうことが、充実した学びを得られるいちばんの近道


茂木さんは子供のころ「蝶オタク」だったそうです。小学生の貴重なお小遣いを使ってマニアックな蝶の本などを買っているうちに徐々に関連する科学の本などにも興味が湧いてきて、そして次第に科学者への道を歩むようになったようです。


日本では「オタク」といえば陰気で人付き合いの苦手な異星人のように思われていることも少なくありません。最近ではすこし変わってきたかもしれませんが、それでもオタクでない人からは多少奇妙な姿に映っていると思います。


しかしオタクとはそういう奇異なものではなく、「好きなことにとことん情熱を注げる人」なのです。


この情熱というのが非常に大切で、楽しいことなら人間はどんどんのめりこみ、学ぶことも苦痛ではなくなるのです。


こうして情熱をもって楽しめることを学ぶことで、自分を輝かせることができるのです。


③言葉には経済価値がある


言われてみれば当然なのですが、いい文章はありとあらゆるスキルと比べても圧倒的なお金を生む力があります。種類は違えど世界中の人間のほぼ全員が言葉を使って生活しているのだから当たり前ですね。しかし当たり前だからこそ、忘れがちなことでもあります。


ここで言ういい文章を書くにはもちろんいわゆる「文章力」が必要なのですが、この文章力も様々ないい本を読むことで磨かれていきます。


最近ではこのブログのようにネットで文章を書いたり読んだりすることも多いと思いますが、ネットの文章ではやろうと思えば簡単にコピー&ペーストで切り貼りできます。
こうして文章を書けば効率的だし専門的な内容も簡単に書けるかもしれませんが、やはり自分の頭から文章を絞り出さなければ自分の文章力は磨かれません。


効率が悪くても負荷をかけへとへとになりながら文章を書くことで脳は喜び、成長していくのです。






この本の最後の章では茂木健一郎さんおすすめの本が10冊厳選されて紹介されています。
今後の読書の参考に、さらなる読書体験を広げていってはいかがでしょうか。





「結果を出せる人になる!「すぐやる脳」のつくり方」茂木 健一郎著