人生読本~20代からの読書日記~: 5月 2016

2016年5月30日月曜日

「佐藤オオキのスピード仕事術」佐藤 オオキ著

今回の本はこちら。


●書名・・・400のプロジェクトを同時に進める 佐藤オオキのスピード仕事術
●著者・・・佐藤 オオキ


スピードは質に転化する


佐藤オオキさんはデザインオフィスnendoの代表で、世界的に活躍されているデザイナーです。

デザイナーといってもその仕事内容は多岐にわたっていて、いわゆる商品のデザインの他に店舗のコンセプトや販売戦略、企業のロゴまで考える等様々。

それら膨大な仕事の中で、佐藤さんが特に重視しているのが”スピード”です。

もちろんクォリティは大事ですが、スピードを上げることで結果的に仕事のクォリティも上がっていきます。

”スピード”は、”質”に転化するのです。


成長の”正のスパイラル”に突入する


スピードを上げるとなぜ仕事の質まで上がるのでしょうか?

それは

  1. スピードを重視し予定より早く仕上げる
  2. 関係者が喜び依頼が増える
  3. 仕事の幅が広がる
  4. 経験値が上がり自分が成長することでさらにスピードが上がる

という正のスパイラルに突入することができるからです。

いったんこの流れに乗ってしまえば、あとは螺旋階段を上るように成長していけば自ずと仕事の質も向上します。

個別の案件についても締め切りより早めに仕上げることで万が一失敗したり修正が必要になっても時間に余裕が生まれ、質が向上します。

またスピードを上げる工夫として情報収集をしっかり行ったりブレの無いコンセプトを共有したりするので、その過程でも全体のクォリティが上がっていきます。


地道に2~3倍ではなく、工夫して5~10倍


スピードを上げるといっても、いつも通りの作業をただ手を速めて頑張るだけではそんなに効果は上がりません。

それでは2~3倍くらいにはできるかもしれませんが、例えばnendoの400ものプロジェクトなどはとてもさばけないでしょう。

そこまでは行かなくとも普段の5~10倍の仕事量をこなすにはどうしたらいいか。

これはもう、やり方を抜本的に見直す必要が出てきます。

そのスピードアップを果たすために佐藤さんはこの本で、”同時処理能力”が重要だと語っています。

手を動かす速度が同じでも、同じ時間で5倍、10倍の量の仕事を処理できれば全体での速度は上がっていることになります。

しかし実際に同時にいくつものことをやるのは自分一人では不可能なので、それができる工夫や環境づくりが特に大事です。


他にも、やらないことを決めることで実際にかかる時間を大幅に減らすことも重要です。

nendoではプレゼン用の試作品を作ることも多いそうです。
この時たとえば、色が3種類、形が3種類、手触りが2種類あるものを作ろうとすると全部で18種類の試作品を作る必要がありますが、全てを作る時間がない場合はどうするのでしょうか。

そのプレゼンで何が重要かしっかり把握していてたとえば「形の違いはコンピューター・グラフィックで見れば十分判断できる」と考えられれば、作る模型は6種類で済みます。

やることを減らして同じゴールにたどり着くことができれば、それは結果的に時間を短縮したことになるのです。


また、最初から予想されうる失敗やリスクについてしっかり対策を考えておくことも、いざ失敗したときに迅速に行動でき、全体のスピードアップにつながります。

最初からプロジェクト全体の方向性を共有することであとから不満が出ないようにすることなども、余計に時間がかかるリスクを回避することになります。


まとめ


佐藤オオキさん自身がデザイナーということもあって、この本では過去に佐藤さんが手がけたデザインの仕事も多数載っています。

写真も載っていてどれも素晴らしいものばかりなのですが、そのデザインに至った過程は他のどんな仕事でも応用できるものばかり。

スピードを上げることでクォリティもどんどん上がっていく過程は、読んでるこっちまでワクワクしてきました。

デザインというものを土台に、”成長の正のスパイラル”に突入するためのヒントがふんだんに詰まった一冊です。

”自分の仕事のスピード感”に悩んでいる人は、是非一度読んでみることをオススメします。





関連書籍記事
「佐藤オオキのボツ本」佐藤 オオキ著
「レバレッジ時間術 ノーリスク・ハイリターンの成功原則」本田 直之著

2016年5月28日土曜日

「精神科医が教える 読んだら忘れない読書術」樺沢 紫苑 著




●書名・・・読んだら忘れない読書術
●著者・・・樺沢 紫苑
●価格・・・1500円+税


読んだら忘れない読書術。是非覚えたいですねぇ。


この本は精神科医である著者が専門家、また日々40万人に情報を発信し続ける「SNSの超プロ」という観点から読書について書かれた本です。


読書に対する重要な考え方やいくつも具体的な読書術が書かれているのですが、その中から僕が気になった3点をご紹介します。




①「できる奴」というのは、日頃から読書をして頭の中に「キッチンスタジアム」を構築している。



これだけだと何言ってんだって感じですが・・・


「キッチンスタジアム」というのをご存知でしょうか?
昔「料理の鉄人」という番組がやっていました。キッチンスタジアムという会場で各ジャンルの”料理の鉄人”という料理人たちと挑戦者が制限時間内に決められたテーマで料理を作りその腕を競うという内容で、当時子供だった僕も夢中になって観ていた記憶があります。
このキッチンスタジアムにはその時々のテーマに沿った多くの新鮮な食材や完璧な設備が用意されており、鉄人や挑戦者はそれらを使い制限時間内にいくつもの料理を作り上げます。


しかしもしこの会場に食材も設備もなければ、どんなに料理が上手な人でもまず食材の買い出しから始めなければなりません。それではとても制限時間内に料理をすべて作ることは不可能でしょう。


これと同じように大多数の「できない人」は、自分の頭の中に自分の仕事についてのキッチンスタジアム、つまり情報や方法論を用意していないため仕事が遅かったり瞬時に反応できなかったります。これに対して「できる奴」は日頃からさまざまな読書をし頭の中に自分専用のキッチンスタジアムを用意しているので、どんな仕事もそつなくこなし評価を上げていくのです。
このように読書をすることで自分の仕事に大きくプラスの影響を与えることができます。




②1週間に3回アウトプットすると記憶される。



記憶をするのに一番効果的な方法は、何事も反復することです。


しかしとかく情報が溢れ返っている社会において、人間の脳は入ってきた情報を選別し基本的にはどんどん忘れていくようプログラムされています。
脳が選別するにあたり記憶に残しておこうとする情報とは「よく利用される情報」「大きく感情が動いた情報」の2種類あるそうです。


そこで、反復です。


さまざまな脳研究によると1週間のうちで3~4回アウトプットすることでその情報は脳の中の仮置き場的な部位から保存する部位に移されるそうです。


つまり読書した内容を忘れないためには、読んだ後1週間で3回ほどアウトプットすれば記憶への定着率が高まるということです。


具体的には読んだ内容をメモしたり他人に本の内容を話したりこのブログのようにネットで公開したりと、さまざまな方法があります。


せっかくお金を出して買い、時間をかけて読むのですから、記憶にはしっかりととどめておきたいものです。




③読んだ本の感想をSNSに投稿する「ソーシャル読書術」



上記のアウトプットの一種なのですが、読んだ本の感想や気に入った個所の引用、名言などをTwitterやfacebookなどに投稿して公開する方法です。


このようにネットにアップすると、一人で読んでメモなどをしている時とは違い周りの人達から反応があったりして読書とはまた別の楽しさがあったりします。


この「楽しい」というのも非常に重要で、人間は基本的に楽しくないことはなかなか続けられません。その点このソーシャル読書術なら比較的手軽で楽しみながらやれるのでかなり習慣化しやすいと思います。それはつまり、継続的に忘れない読書術を行うことができるということです。
また上記でも少し触れましたが「大きく感情が動いた情報」というのも記憶に残りやすい情報の条件なので、楽しんでアウトプットしていればそれそのものが読書の内容をさらに忘れにくくしてくれるのです。






このようにこの「読んだら忘れない読書術」には具体的な読書術が数多く載っていて、どれも有用なものばかりです。




ただ僕は「なぜ精神科医が読書術の本など書いたのか?」という疑問を持っていました。
疑問というか、読書についての本として新たな切り口なのだろうくらいに思っていました。


しかし本文中で執筆の動機を見つけて、感動してしまいました。


それは


「病気にならない知識、病気の予防につながる知識、病気を治す方法を一人でも多くの人に知ってもらうために、読書を習慣にする人を増やし、日本人の読書量を増やすため」


だったのです。


最近の統計では日本人の約半分が、漫画や雑誌以外の読書をしないそうです。読む人でも1~2冊という人が34%ほどで、ここまでで日本人の約80%。
その数少ない読む本の中に健康に関する内容の本が選ばれる可能性はさらに低い。


このように普段あまり本を読まない人が病気になったときに急にその病気についての本を読むということはかなり難しいようです。なにしろ読書習慣がない上に緊急事態でいつも通りの思考もなかなかできない状況ですから。


実際自身の精神科で冊子を渡してもなかなか読んでもらえないそうです。


ただ読んで対処法がわかるだけでも人間のストレスは大幅に減少するそうなのですが、普段から読まない人はもちろんそんなことも知りません。


なのでその根本を改善するために読書術の本を書いた、ということのようです。


これに関しては僕ももちろん他人事じゃありませんし、今回この本を読んだことで改めて知ることができました。




この本は読書術の内容はもちろんですが、日本人をもっと健康にしたいという医師の想いがそのまま伝わってくるような、そんな強い力を持った一冊です。


2016年5月22日日曜日

「すごいメモ。」小西 利行 著


●書名・・・仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。
●著者・・・小西 利行
●価格・・・1400円+税


タイトルの圧がすごいですね。


今回は、普段の仕事に欠かせない、そのくせ油断すると自分でもよく分からなくなりがちな”メモ”についての本です。




まずこの本では、「メモは腐る」という前提で話が進められます。メモが腐るとはどういうことかというと、何か重要な内容やふとした思い付きでメモをとっても時間が経つと書いた内容がよく分からなくなりメモした情報を扱いきれなくなってしまうということです。これはメモを書いた当初は比較的鮮明に残っている記憶が薄れることで起こります。


こうなると大量にとったメモはもはやゴミの山。


ならもうメモなんて取らなくてもいい!・・・と、なってしまうわけですね。




こんな事態を避けるためにこの本ではメモの取り方を大まかに3種類に分け、未来の自分に分かるような、そしてそのメモからさらに創造的な仕事ができるような技術を教えてくれます。


その3種類とは、


・まとメモ(情報をシンプルにまとめて、仕事を効率化するメソッド)
・つくメモ(メモを使って、アイデアをザクザク生むメソッド)
・つたメモ(メモを使って、大切なことを伝えるメソッド)


です。


この下にさらに具体的なメモ術がいくつもあるのですが、著者はこれらを総称して「未来メモ」と言っています。未来のために役立つメモということですね。


ではそのメモ術の中から、個人的に特に気になったものをいくつかご紹介します。




①記号 VS、?、〇✖、☆、⇔(まとメモ)

まとメモでは記号を使ったメモ術が多く紹介されています。
これらの記号はとりあえず付けておくだけでも、時間が経ってからメモを見返したときに考えるとっかかりとなり思考を前進させてくれます。それに記号は文章よりも感覚的に理解できるため、一瞬でイメージが湧くという利点もあります。


一見単純ですが、あるとないとでは時間が経ってからのメモの有用性に天と地ほどの開きができてしまう、重要なメソッドです。


②ハードルメモ(つくメモ)

何を行うにしても、そこに具体的な目標があった方が達成率は高まります。ですが目標というものは、ともすると難しく考えてつい抽象的になりがちでもあります。


例えば僕は俳優なので、舞台などに出演するときに
「いい作品にする」
という目標を持って作品作りに臨みます。


これ自体はもちろん大事なことなのですが、やはり少し漠然としていて、何から手を付けていいのかわかりにくいですね。


そこでこの目標に少し書き加えて、


「それは本当に、いい作品にすることができるか?


とします。


急に思考の方向性が変わったのがわかるでしょうか?
この「それは本当に~か?」をつけることによって様々なアイデアを考える上での基準が頭の中にでき、それによる行動を促すようになります。


このように目標を「ハードル化」することによって、いろんな情報で混乱することを避け課題の方向に進むことができるようになります。これを「思考のルール化」といいます。


この思考のルール化を行うことで自分が考えやすくなるのはもちろん、チームで仕事をする際にも方向性を共有しやすいので、成果が出やすくなります。


③スピーチメモ(つたメモ)

スピーチのヒントは書籍のタイトルにある。
不思議な組み合わせですね。
ですが、書籍のタイトルとは、その本の内容をまったく知らない人が少しでも興味を持つように考えられて作られます。そこには”興味のない人が興味を持つプロセス”つまり「思考の顕在化」のメソッドが詰まっている、とこの本には書かれています。


例えば「なぜ○○は××なのか?」


こういうタイトルの本は今でも本当に多いですね。そして僕も実際こういうタイトルの本を見たら一瞬気になってしまいます。
その理由としては、人の興味は「疑問と解決」の間にあるからだそうです。
たしかに物語なども最初の方で観客に大きな疑問を提示して、そこで興味を持ってもらうことで終盤の解決まで(もしくは解決しないという結末まで)観てもらうことが可能になります。


他にも具体的な数字があると興味を持ったり、「○○だけど××やってみた」や「○○力」なども強い力を持っています。


ということは。


これらをスピーチに応用すれば興味のない人にも話の内容に興味を持ってもらうことができるのです。


応用といっても難しいことではなく、単純に書籍のタイトルをまねてしまえば大丈夫。


「君は、○○を知っているか」


こんな始まり方をするスピーチならつい聞いてしまいそうです。


このスピーチメモのコツは
・書籍のタイトルに似せて作り、人の興味を惹くこと
・画面に1行だけメモを出して、それを見ながら話すこと
・聞き手と同じスタンスで疑問を解決していくということ


これらを踏まえるだけで自分でもスピーチがしやすくなりますし、聞き手からもスピーチ上手と思われることでしょう。






こんかいご紹介したメモ術はほんの一部ですが、このように未来メモには単純さからは計り知れないほどの強い力を感じることができます。
これらを使い仕事の効率を上げ、どんどん新しい道を開いて前進していきたいものです。





2016年5月21日土曜日

「遅読家のための読書術」印南 敦史 著



書名・・・遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣
著者・・・印南 敦史
●価格
・・・1400円+税

遅読家、というとなかなか耳慣れない言葉ですが、帯にもある通りこの本の著者である印南さんはもともと1ページ読むのに5分10分かかってしまうかなりの遅読家だったそうです。

それが今では月に60本ほどのレビュー記事を書く書評家になったということで、この本では著者自身が遅読家を克服した様々な読書術や考え方が載っています。


そのなかからいくつか僕が気に入ったものをご紹介します。



「音楽を聴くように本が読める」状態を作る・・・フロー・リーディング



従来の「知識を頭に貯蔵する」ストック型の読書が遅読家を生む一因になっていると印南さんは書かれています。本は一字一句しっかり読み、その考えのすべてを理解しようという「熟読の呪縛」によって世の「積ん読」が増えているようです。

これに対して、まるで音楽を聴くように「その本に書かれた内容が、自分の内部を流れていくことに価値を見出す読書法」がフロー・リーディングです。



音楽ライターもなさっていた著者だからこその独特な考え方かもしれませんが、普段音楽を聴くときに一音一音正確に聞き取りすべてのメロディの意味を考えながら聴いている人はほとんどいないと思います。それと同じように読書も内容を体に流すこと自体を楽しむように読み、その中で特に印象に残った部分を大切にしていくような感じでしょうか。

このフロー・リーディングは膨大な情報量があふれている現代に適応した読み方なのだろうと思います。

このように少し気楽に考えることで読書へのハードルが下がり、最終的な読書量はかなり増やせそうです。



読書は呼吸



これ、実は僕がこの本の中で一番気に入っている箇所なんです。

読書とは呼吸と同じで吸う(読む)だけでは苦しくて当たり前で吐く(書く等のアウトプット)も必要だというのです。

とにかく情報のあふれているこの時代、読んだ内容の全てを覚えようとしても大変なだけで、それなら外側に書き写してしまえばいい。それにそうすれば書き写したものがあるわけですからそもそも覚える必要もなくさらに読書のハードルが低くなり次が読みやすくなります。

これは今後もかなり大事にしたい考え方です。




1ライン・サンプリング



というわけでの吐く行為を具体的に行う一つの例が1ライン・サンプリングです。

A4
用紙を用意し、読書をしながらその紙に気になった箇所をどんどん書き写していきます。

僕も同じなのですが、著者は本に書き込みをしたりページの角を折ったりというのがあまり好きではないそうです。単純に本を汚すのが好きじゃないということと、200ページ近い本文の中に書き込みをしたところで結局忘れてしまうからだそうです。


その点この1ライン・サンプリングなら読んだ本のハイライト集がA4にまとまっているわけですから、後から読み返すのも大変楽になります。


このように人が基本的に物事を忘れてく生き物であることや情報過多な時代を背景に、具体的な読書術が数多く書かれています。

これを機に本を読むという行為をもう少し気楽に考え、多読に挑戦してみてもいいかもしれません。

きっと、いろんな情報に触れるスピードがこれまでと段違いになるはずです。

2016年5月20日金曜日

「道をひらく」松下 幸之助 著



書名道をひらく
著者松下 幸之助
●価格
…870円+税

あの松下幸之助氏の大ベストセラー。

松下さんが当時PHPという機関誌に連載していた短文から121篇を選びまとめたものだそうです。


だいたい1篇が2ページ程なので、読むだけならわりと簡単に読むことができます。

が。

1
1篇が持つ力は大きく、それを考えながら読むとなかなか簡単には進めません。


松下幸之助と聞くと「経営の神様」なんてよく言われますが、僕にはそんな風には思えません。

この本を読む限り、「生き方の神様」に思えてならないのです。

もちろん経営的な内容に特化した著書もあるのですが、その根本、人生のあらゆる面で深い示唆を与えてくれる言葉ばかり書いてあるように思えます。


この本は一度読めば終わり、というような類のものではありません。

ふとしたときに開くとその時々に応じて心に深く刺さる言葉を与えてくれるものです。

そういう意味では僕もまだまだ読んでる途中と言えるのかもしれません。


これもまた、長い付き合いになりそうな一冊です。

「この1冊で早わかり!日本の古典50冊」阿刀田 高 監修



書名この1冊で早わかり!日本の古典50
著者阿刀田 高監修
●価格
…630円+税

今日は、本を紹介する本の紹介です。ん?


いや、合ってるな()


これは作家の阿刀田高さんが監修された本で、日本の様々な古典作品の内容を簡潔にまとめてあります。

内容だけでなくその作品が書かれた背景や当時の情勢なども一緒に説明してくれたりするので非常にわかりやすい。


それに古典と言っても、「源氏物語」などのストーリーのあるものから我々演劇人には縁の深い「風姿花伝」、当時のビジネス感覚がわかる「日本永代蔵」などジャンルも多岐に渡り興味を引かれるものばかりです。


そういえば「伊勢物語」とか出演したな。


力のある古典というのはもちろん元の作品を読んだ方がいいと思いますが、内容を少しかじるだけでも現代では十分武器になり得ます。


タイトルだけではなかなか手をつけにくい古典もこの一冊でだいぶ身近に感じることができ、新鮮な驚きを得られそうです(^_^)

「フレームワーク図鑑」永田 豊志 監修



書名フレームワーク図鑑
著者永田 豊志監修
●価格
…1400円+税

「フレームワーク」とは思考方法の雛型のようなもので、僕はこの本で初めてそういう名前を知りました。


僕が演劇人なのであまり馴染みがなかったのでしょうが、今回の本はその「フレームワーク」を様々な種類載せています。

今世の中ではとにかくモノを深く考えることが全ての仕事の出発点になっています。

そんな時に適切なフレームワークを使うことで思考時間を短縮し、思考の質も向上させることができます。

この本はそんな数々のフレームワークを一冊にまとめ持ち歩きやすい大きさにしたものです。つまり、手元にあればいつでもその時必要な考え方のヒントを手にすることができるのです!


基本的に見開き2ページでひとつのフレームワークが載っているのでそれぞれに詳しく知りたければ別に勉強する必要がありますが、応用できればかなり便利な一冊だと思います。


これで頭の中を整理していけば、芝居にも良い影響が出るかな?

「センスは知識からはじまる」水野 学 著


書名センスは知識からはじまる
著者水野
●価格
…1400円+税

「センスとは、数値化できない事象を最適化することである」

この言葉がすごく大切なことに感じられました。

今回はくまモンなどをデザインした水野学さんの、いわゆるセンスと呼ばれるものについて書かれた本です。


センスと聞くと天才が生まれ持ったひらめきのように感じるかもしれませんが、この本によると蓄積された知識と論理的な思考により誰でも磨けるものだそうです。

これが僕にとってかなりしっくりきました。

以前から面白くない芝居を観たりするとつい「センスねぇな」とか思っちゃったりするのですが、それはあくまでセンスは磨けるものという前提があっての感想なんです。
だから稽古でうまくいかなかったりすると自分に対しても思う時があります。

でも世の中ではあまりそういうものではないらしく、「センスが悪い」というのはもう何か絶望的なことのようにとらえられているようだと気づき違和感を覚えていました。


またこの本では学校教育における美術や音楽などにも言及していて、それが日本人を芸術から離し「センス」という言葉に恐怖を抱くきっかけになっているのではないかと書かれています。

これも俳優、すなわち芸術家である僕らには重要な問題だと思います。

僕の知人の間だけでも俳優=芸術家ととらえている人はごく少数ですし、お客様の中にも「芝居という芸術を観に行こう!」とか思ってる方は少ないと思います。

それ自体は構わないのですが、もし学校教育からつまづいていて芸術というものを何か「得体の知れないもの」のように感じられているとすれば、それは演劇界にも少なからず影響のあることだと思います。


今回取り上げた本は基本的にはセンスを磨く具体的な方法など面白い内容ばかりなのですが、個人的にお芝居と結び付けられる点が多くなかなか考えさせられてしまいました(^_^;

あらためて、己のセンスを磨く時に参考になる重要な一冊だと思います。

2016年5月19日木曜日

「発想法」川喜田 二郎 著



書名発想法
著者川喜田 二郎
価格
…660円+税

KJ
法、というのを聞いたことがあるでしょうか。

アイデアを発想するため、または様々な情報をひとつにまとめ真の問題点を見極める時などに使用される方法で、考え方のフレームワークの本などにもよく載っています。

ざっくりいうと、

まず思い付くことや情報を片っ端から紙切れ(付箋など)に書き出す。

なんとなく各紙切れ同士の関連性を見出しグループ分けする。

グループ同士の関連性を見つけ書き込んでいく。

全ての関連性を整理し、文章化する。

という流れで情報を整理する方法です。
これは、発案者の川喜田二郎氏のイニシャルをとってKJ法といいます。


今回の本はこのKJ法について発案者である川喜田二郎氏が書かれたもので、アイデア出しの原点のような内容が詰まっています。


この「発想法」、初版が1967年でわりと昔の本だからか口語と文語が混ざったような不思議な文章で書かれています。

きっと著者の個性が出た結果なのだろうと思って読んでたらだんだん著者から個人的に語りかけられてるような気がして面白くなってしまい、全体的に変な愛着が湧いた一冊になりました(´ω`)

「ハリウッド白熱教室」ドリュー・キャスパー



書名ハリウッド白熱教室
著者ドリュー・キャスパー
価格
…1600円+税


久々に演劇人っぽい!()

これは以前NHKで放送された番組「ハリウッド白熱教室」の内容を書籍化したもので、南カリフォルニア大学のキャスパー教授が映画についての講義を行った模様をまとめたものです。


講義は全5回で、講義ごとに

・脚本
・ビジュアル・デザイン
・撮影
・編集
・音響効果

という切り口から映画に隠された様々な意図を読み取る術を語っています。


内容もさることながらこのキャスパー教授、とにかくキャラが濃い。

映像で観るとわかりやすいのですが、日本で言う「教授」というイメージからは考えられないほどのテンションで生徒を巻き込んでいく様はそれだけでもだいぶ面白い。

そしてとにかく映画を愛しているということが常に伝わってきます。

講義の最中いくつかの名作映画の抜粋を観て話をしているのですが、きっとどれもキャスパー教授が大好きな作品なのでしょう。どこまでも細部まで意図を考えさせられます。


書籍化されて面白かったことのひとつに、少し映像ではカットされていた部分が入っていたことがあります。その中でキャスパー教授は現代の映画業界に時折苦言を呈していたりもしたので、そういう部分を読むことができたのは書籍化のメリットだと思いますね。


と、ここまでほぼキャスパー教授についてしか書いていない()

ですが映画好きにはかなりためになる内容です。そうでなくとも、きっと映画が好きになります()


人生をさらに味わい尽くすためにも、こういう視点で見ることの出来る目を養いたいものです(´ω`)

「決断力」羽生 善治 著



書名決断力
著者羽生 善治
●価格
…800円+税


人の顔シリーズ()

前回同様メガネの方ですが、今回はまた違った印象がありますね。

羽生さんの著書は他にもいくつかありますが、初めてだったのもありよくタイトルを聞く「決断力」を読ませていただきました。


内容としては、決断力を始め勉強法や集中力等さまざまなことについて将棋を通しての考え方が書かれています。

将棋を通した、といっても当然思考のプロがまとめたものだけあって日常生活での気付きにも数多く通じる点があります。


以前テレビで羽生さんとチェスの世界チャンピオンが対談した番組を観たことがあるのですが、それこそ一言一言丁寧に考えて話す姿が印象に残り、ある意味羽生さんのキャラクターを形作っていました。


常にそれだけ物事を深く考える人の思考のプロセスが垣間見えるのは、やはり読んでて楽しい部分であり勉強になる部分です。


次はこの本で学んだことをいかに自分の生活に応用できるか。

そのためには、もう少し深く読む必要がありそうですが(^_^;


久しぶりに将棋やりたいなぁ

「三谷幸喜 創作を語る」松野 大介 著



書名三谷幸喜 創作を語る
著者松野 大介
価格
…1000円+税


表紙のインパクトすげーな


今回のこの本、脚本家の三谷幸喜さんがこれまで関わった様々な作品についてインタビュー形式でお話されている内容です。


取り上げている作品は「古畑任三郎」や「THE 有頂天ホテル」など有名なものから、舞台「12人の優しい日本人」、人形劇「新・三銃士」など多数。

製作当時の裏話や作品創作の考え方など、取り上げている作品を知らなくても楽しめるものばかりです。

とはいえもちろん作品を知っていれば更に楽しめる。「合い言葉は勇気」とか好きだったなぁ


普段あまり表に出てこない脚本家(三谷さんはかなり露出してますが)の頭の中を少しだけ覗き見できたような、また俳優とは一味違う表現を感じることができる一冊です(`・ω)

2016年5月18日水曜日

「大人のための読書の全技術」齋藤 孝 著



書名大人のための 読書の全技術
著者齋藤
価格
…1500円+税

今回は、「声に出して読みたい日本語」などを書かれた齋藤孝さんの本です。

その名もずばり、「読書の全技術」。

タイトル通り、本を読むということについて様々な観点から書かれています。


大まかに分けると

読書を習慣化する
速読の技術
精読の技術
本選びの技術
アウトプットの技術

僕が特に印象に残ったのは「精読」と「アウトプット」でしょうか。

精読とはつまり一冊の本を詳しく、詳細に読み込むという作業です。
様々な方法があるのですが、その中でも「音読」の重要性が強く説かれています。

日本では昔から寺子屋で何度も行う教科書音読など、様々な場面で声に出して読んでいました。その方が内容を理解し易いようです。

確かに俳優という職業柄最終的には声に出して読む台本と、目で読むばかりの普段の読書では身体への入り方がだいぶ違う。

しかも舞台だと1ヶ月近く何度も何度も読みますからね(^_^;



次に「アウトプット」。

読書はインプットですから、そこで手に入れた知識をどこかに出すことによって自分自身の成長を促し、知識に価値をもたらします。

方法としては読んだことを実行したり、内容を人に話したりブログ等で説明したりetc.…


そう。


実はこの人生読本、この本でも書かれているアウトプットを実行したものなのです。


つまりこのブログも僕の読書の一環。

こういうことをすることでより内容への理解が深まり自分の力となるのです!!



なったらいいなぁ


これを読んで読書の仕方ががらりとかわりました。

読書に仕方なんてあるのかと思うかもしれませんが、一度試してみると新たな世界が広がるかもしれません…(´ω`)