人生読本~20代からの読書日記~: 7月 2017

2017年7月25日火曜日

「「生産性」をあげる技術」石田 淳著

今回の本はこちら。


●書名・・・「生産性」をあげる技術
●著者・・・石田 淳

著者の石田淳さんは「続ける技術」などでも有名ですね。
アメリカの行動分析学を元に日本人向けにアレンジした”行動科学マネジメント”を確立した方です。

『「生産性」をあげる技術』では、書名の通り日頃の仕事における生産性を、個人の能力や精神論に頼らず誰でもあげられる方法を紹介しています。

最近では日本人の生産性が先進国の中でもかなり低いことが話題になっています。

最近でこそワークライフバランスという言葉が広まり始めていますが、もともと長い時間をかければいいものが作れると思っている節があるので結果的に全体の生産性は低いのでしょう。

また「生産性を上げる」というと、いつも通りの作業をいつもより”頑張って”早く大量にこなすという結論に達している場合も多く感じます。
この場合、仕事量だけ増えてあとは「頑張れ」と言われるだけですね。

このような状況ではもちろん「生産性」が上がるわけもありません。


この『「生産性」をあげる技術』では上記のような曖昧な表現になりがちな「生産性」を明確にし、誰でも向上させられるように説明しています。


生産性を向上させるには、3つのステップを踏む必要があります。
それは、
  1. 標準化する
  2. 評価する
  3. 仕組み化する
以上の3つです。


標準化とは仕事で必要な作業を明確にし、チームで共有することです。

なにをするにも人にはそれぞれのやり方があったりしますが、その個人のやり方に任せてしまったのではもしその人が休んだり辞めたりした場合にやり方がわからなくなり他の人が作業することが困難になってしまいます。

このように属人化(誰かしかできない)した方法を分析し標準化(誰でもできる)することで、新人の教育なども速くなるし作業の問題点なども探しやすくなります。

作業のチェックリストを作ったりするのも標準化になりますね。


評価するというのはいわゆる良し悪しを判断する評価ではなく、ここでは標準化した行動を行ったことを褒めることを言います。

褒められることで、人はその行動を再び行いやすくなります。

人は自分にとってのメリット(報酬)があることで行動を起こしやすくなるからです。

報酬と聞くとついお金(給与等)をイメージしてしまいますが、これは必ずしも金銭的な報酬でなくともよいのです。

感謝され、褒められるという非金銭的な報酬でも十分効果があります。


最後の仕組み化ですが、これを行うことで自然と標準化や評価を行えるようにします。

例えば評価の方法をポイントカードにするなど、具体的に見える化していきます。

また、標準化や評価を全員で行えるようにすれば、もはや放っておいても勝手に生産性が向上していきます。

この仕組み化を怠ると、常に自分がハッパをかけなくてはいけなくなるため一時的に生産性は上がるかもしれませんが自然に成長する組織にはなり得ません。


基本的なことは上記の3点ですが、この『「生産性」をあげる技術』には途中漫画やイラストなども交えてもっと具体的な方法が多数載っています。

またこの本では主にチームのリーダーが自分のチームを成長させるという前提で書かれていますが、その方法は個人であっても応用可能です。

自分自身を客観的に見つめ、自分の「生産性」を向上させるのにも十分役に立つ一冊です。


「稼ぐが勝ち」 堀江 貴文著

今回の本はこちら。


●書名・・・稼ぐが勝ち~ゼロから100億、ボクのやり方~
●著者・・・堀江 貴文

ホリエモンこと堀江貴文さんの、2005年に出された本です。

なかなか刺激的なタイトルからわかるようにお金について、特にお金に対する考え方について書かれています。

堀江さんは今でも年に何冊も本を出していますが、そのすべてに共通する考え方みたいなものは、この「稼ぐが勝ち」にもすでに表れています。


堀江さんはこの本の中で当時の時点での様々な未来を予想してビジネスをしているのですが、10年以上経った現在から振り返るとそれらは驚くほど当たっています。

たとえば、当時すでにインターネットは一般に普及し始めていましたが、それでも今のように大半の人がスマホをもってネット環境に接続していたわけではありません。

それでもいずれはインターネットも空気のように日常にありふれたものとなり、そこを軸にビジネスは変化しているととらえています。

テレビや家庭用ゲームも、一般化するネット環境の中でどんどん動画サイトやソーシャルゲームにとって代わられています。

そういう未来に気づければ、世の中にフロンティアと言われる場所はまだまだあり、その数だけビジネスチャンスが眠っているのです。


しかしビジネスチャンスがどうとかいうと、機会を狙って楽して稼ぐみたいな印象もありますが堀江さんが言っているのはそういうことではありません。

この本の中で堀江さんは、ビジネスをやるには「気合と根性」が重要だと言っています。

とにかく気合と根性でモノをひとつ売る。

ひとつでも売れることでそれが小さな成功体験として積み重なり、いずれビジネスを成功させるのです。

この辺は堀江さんの別著「ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく」にも通じる考え方ですが、とにかく基本(営業して物を売る)に忠実に繰り返すことが成功への道だと説いています。


この本が出たのは10年以上前(2005年)ですが、今読むとまさに今書かれたのではないかと思うほど書かれた通りの社会になりつつあります。

ということは今の堀江さんにはすでに10年後の未来が見えているのかもしれません。


堀江さんの意図するところではないでしょうが、この「稼ぐが勝ち」は今読むといかに自分が”今”にとらわれているかを知ることができる不思議な一冊、そして示唆に富んだ一冊です。





関連書籍記事
「多動力」堀江貴文著
「逆転の仕事論」堀江貴文著
「ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく」堀江貴文著
「99%の会社はいらない」堀江貴文著
「なんでお店が儲からないのかを僕が解決する」堀江 貴文著
「すべての教育は「洗脳」である」堀江 貴文著
「本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方」堀江 貴文著
「東大から刑務所へ」堀江 貴文 井川 意高 著
「マンガ版 「好き」を仕事にして生きる」堀江 貴文著

2017年7月8日土曜日

「なんでお店が儲からないのかを僕が解決する」堀江 貴文著

今回の本はこちら。

●書名・・・なんでお店が儲からないのかを僕が解決する
●著者・・・堀江 貴文

ホリエモンこと堀江貴文さんによる、世のレストランや飲食店の経営についての本です。

一年のうちほぼ365日外食する(!)堀江さんの目から見て、現在の飲食店の多くは味が良くても経営的に気になることが多いそうです。

そして実際、競争の激しい飲食業界では店が数年生き残るのも難しい状態。

しかし多くの場合では、ちょっとした工夫でそんな状況を改善することができるのです。


例えば、料金の支払いについて。

堀江さんは、クレジットカードでの支払いができない店が非常に気になるそう。

なるべく現金を持ち歩きたくない堀江さんとしては単純に面倒なのでしょうが、古くからある店ほど使えない場合が多そうです。

カード会社に手数料を取られたり導入がめんどくさいと嫌がるお店は多いようなのですが、その解決策がすごい。

「スマホに付けるカードリーダー」を使った、Squareというサービス。

サイトからアカウントを作りカードリーダーをスマホに取り付けることで、そのスマホがPOSレジの機能を果たすようになるのです。

つまり、スマホとそのリーダーがあればお客さんはカードでの支払いができるようになり、店側もお客さんの情報等をスマホでまとめることができるのです。

このサービス、飲食店だけじゃなく他のあらゆる業態で利用できますね。

僕のいる演劇業界、特に小劇場界なんかはぜひ導入するべきです。

自分で出演しても観に行っても、小劇場の受付でカードOKなところなんて聞いたことないしそもそも注意書きもしないくらい「現金が前提」になっているように思います。

これは各公演がかなり小規模なのもあり、また受付のスタッフが主宰団体の人間でない場合も多いのでこういう状況なのだと思いますが…

しかし現金のみだと計算間違いも起きますし、釣銭の用意も結構大変です。
お店なら釣銭は多めに用意してもまた翌日も営業しているので使えますが、舞台の公演は千穐楽が終われば片付けなければなりませんから釣銭もさほど余裕をもって用意することができません。

ここにカード決済を導入すれば、受付もスムーズになるしお客さんも変に気を遣わなくて楽なんじゃないかな…

前売りとかでも利用できたらチケットの販売率も上がるかもしれないし。

(ちなみに本の中では「コンビニで買える」と書いてあるのですが、いろいろサービス内容も変わっているようで2017年7月現在公式サイトの他ではAmazon等のネット通販や一部の家電量販店での扱いのみとなっているようなので導入する場合は確認が必要です)

このように、この本に書かれた内容は他業種でもかなり広範囲で応用が利きます。


本の後半では飲食店の経営者からの質問に堀江さんが答える形で様々な相談に乗っています。

これもまた面白い内容が多く、一瞬経営者側の質問にも「そうだよねぇ」と賛同しそうになるのですが、堀江さんはそのことごとくに自分なりの回答を持っています。

それらを読むと、質問している経営者たち同様いかに自分の頭が凝り固まっているのか痛感して反省してしまうほどです。


また巻末には堀江さんが運営する飲食店のキュレーションサイト「TERIYAKI」に堀江さん自身が寄稿した、つまり「美味しい」と認めたレストランのリストが457店も載っています。


正直、いくら「食」が好きだからと言ってなぜこんな本を出したのかと思っていたのですが、その動機は単純にして強力でした。

美味しいお店に長く続いてほしい。

そういうことなのだと思います。

ただ経営がイマイチだからと文句を言っているのではなく、生き残ってほしいからこそ気になることが山とある。

この本は、堀江さんの「食」に対する、そしておいしいお店に対する愛がいっぱい詰まった一冊なのです。




関連書籍記事
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2017年7月7日金曜日

「マンガでわかる! 幼稚園児でもできた!! タスク管理超入門」岡野 純著

今回の本はこちら。

●書名・・・マンガでわかる! 幼稚園児でもできた!! タスク管理超入門 impress QuickBooks
●著者・・・岡野 純著

タスク管理といえば、いまや会社でバリバリ働くビジネスマンが多くの仕事を処理するための必須スキルです。

その日にやるべき仕事をリストアップし優先順位をつけ、片っ端からこなしていく。

…というのが理想なのですが、実際はリストアップしてもなかなか手が付けられなかったり、優先順位を付けようにもどれも重要なことに思えてしまったり、そもそもやるべきことをいくつも忘れてしまっていたりと、なかなかうまくいかない場面も多いのではないでしょうか。

「マンガでわかる! 幼稚園児でもできた!! タスク管理超入門」の主人公もそんなサラリーマンのひとり。

しかし妻の助言や普段の生活の中での様々な気づきから徐々に正しいタスク管理を身につけていき、ストレスの少ない充実した生活を送れるようになっていきます。

とはいえこれはあくまで漫画だし、やはりタスク管理は難しいなんて思ってしまいますよね。

確かに気をつけるべきことは多いのですが、この「マンガでわかる! 幼稚園児でもできた!! タスク管理超入門」では主人公の子供たちにも簡易版のようなタスク管理を実践させ、おもちゃの片付けや幼稚園へ行く荷物の準備等を子ども自身でスムーズに行えるようにさせることに成功しています。

もちろん管理項目などは両親が考えますが、タスク管理自体はただの仕組みであり、実践者の才能などは関係ありません。
だから子供たちもしっかりタスクを処理していくことができるのです。

また、主人公のタスク管理に加え子供たちのいわば簡易版タスク管理があることで、タスク管理における基本的な要素がわかりやすく説明されています。

本質さえしっかり押さえれば、誰でもタスク管理は行えるのです。

この「マンガでわかる! 幼稚園児でもできた!! タスク管理超入門」ではタスク管理の基本の説明と共に、時間を計ったりタスクを記録するアプリなども紹介しているので、それらも試しながら実践することでタスク処理能力が飛躍的に向上するでしょう。

漫画の内容もほのぼのしていてさらっと読めてしまうのに、その効用は計り知れません。

もし自分のタスク管理がうまくいっていないと感じているなら、読んで損はない一冊です。