人生読本~20代からの読書日記~: 2月 2017

2017年2月16日木曜日

「逆転の仕事論」堀江 貴文著

今回の本はこちら。






●著者・・・堀江 貴文



ホリエモンこと堀江貴文さんの2015年の著書です。


この本は堀江さんの“誰もが「引き受け」てばかりで、自ら「作る」ことを軽視したり疎んじてきたツケが昨今の日本社会の閉塞感の遠因のひとつではないか”という問題提起からスタートします。


今や、長いあいだ日本のひとつの成功モデルだった「決まったレールの上を歩き、組織の中で懸命に働く」というスタイルは崩れつつあります。


そのなかで生き残るためには、これまでとは違った仕事のやり方、それこそ「逆転の仕事論」が必要となります。


この本は堀江さんの著書でありながら、堀江さんも驚くような「逆転の仕事論」を実践している8人の著名人による本でもあります。その8人とは、


・武田双雲…書道家

・佐渡島庸平…編集者、()コルク社長

・増田セバスチャン…アートディレクター

・田村淳…お笑いタレント

HIKAKIN…ユーチューバー

・小田吉男…LiNK-UP()社長、インキュベーター、プロデューサー

・小橋賢児…映画監督、俳優、イベントプロデューサー

・岡田斗司夫…社会評論家、元FREEex主宰


このそうそうたるメンバーそれぞれが自分の仕事への考え方を示し、それに堀江さんも意見を述べている、といった感じでしょうか。


どなたにも力強い仕事論がありますが、今回はその中でもほんのいくつかだけご紹介したいと思います。



① 自分のフィールドならメジャーリーガーと闘える(増田セバスチャン)



増田セバスチャンさんは、原宿kawaii文化の第一人者で、きゃりーぱみゅぱみゅさんのミュージックビデオの美術を手掛けた方です。


増田さんは1995年、原宿に「6DOKIDOKI」というアパレルショップを開きました。

最初は別のアルバイトで生活費を稼ぐほど経営は苦しかったそうですが、その後徐々に業績も上がり規模を拡大していきます。


そうして取引先の経営者の方と会う機会も増えたのですが、もともと舞台美術などある種の表現者としてスタートした増田さんとは違い相手はいうなれば“ビジネスのプロ”。

“儲けることに容赦がない”人たちで、増田さん自身はとてもそのやり方はできない。そういう人たちを相手にしては、ビジネスの世界でメジャーリーグには上がれないと思ったそうです。


しかしそれで終わりではなく、だからこそクリエイションという増田さん自身のフィールドでなら、そういうメジャーリーガーたちとも対等に渡り合えるんじゃないかという結論に達したそうです。


結果、「6DOKIDOKI」は規模を縮小し経営としては後退となりましたが、そのタイミングで海外進出も決まったとのことなので、やはり対等に戦えるフィールドで真価を発揮できたのではないでしょうか。



② 決めたことを愚直にやり続ける。これは信頼を高めることと、その他大勢から突破するための必要条件(HIKAKIN



HIKAKINさんは動画投稿サイトのYoutubeで、ヒューマンビートボックス(自分の口など身体のみを使ってパーカッションなどの音を再現し曲を奏でること)の動画を数々投稿し一躍有名になり、今や日本におけるユーチューバー(Youtube動画の広告収入などで生計を立てている人)の代名詞とも言えるような存在の人です。


HIKAKINさんは楽曲の再現の他、ゲーム実況、HIKAKINBlogHikakinTVなど多くのチャンネルを運営し今も動画を投稿し続けています。

しかもその頻度は、毎日。


普通の人なら毎日やることでも時にはつい「忙しい」とか「今日は時間がない」という理由を付けてサボってしまうこともあるかもしれません。


しかしそういって決めたルールを守らない人は、いずれ成長が止まってしまいます。


大変でも続ける。それこそがどんなジャンルでも腕を磨く礎となります。


それに自分で言ったことをしっかり守るという安心感が観てくれる人に生まれれば、結果としてたくさんの人から信頼されることにつながります。


ちなみに毎日更新しているHikakinTVは、なんと更新時間も決めているそうです。

一日ひとつ、必ず新しいコンテンツを投稿する。これはかなりの重労働ですが、それを愚直に続けるからこそ、HIKAKINさんは多くの人に人気なのでしょう。



③ 「仕事を作る」ことは、あまり困難ではない。実にシンプルなのだ。(堀江貴文)



これは著者である堀江さんの言葉です。


この「逆転の仕事論」に登場する8人は、様々な障害があったであろう道のりでも心が折れることもなく第一線で活躍し続けています。

なぜならそれは、彼らが「仕事を作る人」だから。


堀江さんいわく「仕事を作る」とは、“多くの情報を浴び、自分だけの思考力を養い、リスクを取って、楽しいことのために自ら作ったレールを歩く”こと。


8人はいずれもそれぞれの方法でこれを実践し、自分の楽しいと感じるものを明確に理解し、目標の実現のためにやり続けたからこそ「逆転の仕事論」を手に入れたのです。



就職した会社で与えられた仕事に励み、定年を迎える。

そんなかつての「成功モデル」はもうすぐ溶けてしまうと堀江さんは警鐘を鳴らしています。


「逆転の仕事論」に登場した8人は最初はいずれも異端児とされてきましたが、これまでの「成功モデル」が溶けつつある中で徐々にビジネスシーンの中心になろうとしています。


しかし本人たちは意識してそうしているわけではありません。

これは堀江さんの他の著書でもたびたび出てきますが、“仕事=遊び”。


仕事とはただシンプルに、自分の心からやりたいことをやるためにあるのです。



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2017年2月5日日曜日

「結果を出せる人になる!「すぐやる脳」のつくり方」茂木 健一郎著

今回の本はこちら。

 


●著者・・・茂木 健一郎著

●価格・・・1300円+税


脳科学者の茂木健一郎さんの著書です。


何か行動を起こす必要があるときに、ついぐずぐずしてしまい先延ばしにしてしまうことは誰しもあることだと思います。

そんなときはすぐに行動できない自分に嫌気がさしてしまったりもしますが、茂木さんはこれを「脳の正常な働き」だと言っています。


我々は子供の頃から「あれをやってはいけない」と言われたり、経験が増えると「常識的に考えると」などと思いまず考え込むことから始めたりします。

これらの習慣が正常に発揮され、人が何か行動するときに脳の抑制になってしまうのです。


つまり普通の人は「すぐやることが苦手」なのではなく、「脳の抑制の外し方を知らない」だけなのです。


そしてこの「脳の抑制の外し方」は、少しずつ習得し、習慣にすることができます。


この「結果を出せる人になる!「すぐやる脳」のつくり方」には、脳の抑制を外し様々な場面で「すぐやる」ことができるようになる為の練習方法や習慣がたくさん載っています。


脳科学の立場から見る「すぐやる」方法とは、いったいどんなものなのでしょうか?


① 目の前の努力を「頑張る行為」と意識せず、何も意識せずに行えるよう「習慣化」することが成功への近道


人が「頑張る」と意識したときに活性化する脳の中の「努力する回路」とでも言うような場所は、エネルギー消費がとても激しいのだそうです。


消費が激しいので、もちろん習慣化や継続して行うことには向いていません。


なので、「努力」にあたる行動をあまり「頑張る」と意識しないでも行えるような習慣づくりが非常に大切になります。


また冒頭にも書いたように、日本人は根がまじめなのでどうしても「常識的に考えると…」などと考えてしまいすぐに行動に移せない傾向があります。


いくらこれは脳が正常に働いているからだと言っても、このままではなかなか結果を出すことはできません。


これらの抑制を外しすぐ行動できるようになるためには“あまり深く考えないこと”。


考えすぎて動けなくなったり無駄にエネルギーを使うくらいなら、深く考えず軽やかに結果につながる行動をしてしまいましょう。


集中し努力するということは、ただ根を詰めればいいというものでもないのです。


② 11回、人生で一番のプレッシャーをかけてみる


「すぐやる脳」になるためには無駄なエネルギー消費を削ることに加え、脳自体の性能をあげる、つまり成長させることも欠かせません。


脳は負荷をかけることで成長します。

しかも易しいものよりも「内容が難しい」という負荷のかけ方の方が大きな効果を期待できます。


その負荷のかけ方のひとつが「なんちゃって大プレッシャー」。


全くのウソでかまわないのですが、例えば「これからやる自分の仕事の出来次第で、東京のオリンピック招致が決まる」といったようなもの。


または「自分がもしオバマ大統領だったら」と仮定して行動してみる。

こちらはちょっとした会話もかなり責任重大になります。


こうした負荷をかける内容を毎日考えるのはかなりハードだと思いますが、だからこそ脳の動きが軽やかで創造性に富んだ「すぐやる脳」へと成長するのです。


③ 脳は「自分の課題だ」と実感したときに初めてやる気を出す


人間は一度「やらされている」と受け身に感じてしまうと、脳が抑制されて前頭葉を中心とする「やる気の回路」が働きづらくなってしまいます。


誰しも子供の頃に親に「勉強しなさい」なんて言われてなおさらやる気がなくなりゲームをしてしまった…なんて経験があるんじゃないかと思います。


そういう脳の働き方は大人になっても変わらないもの。

職場で上司の人に指示されて「やらされる」仕事も多いと思いますが、同じように少し憂鬱になってしまうのではないでしょうか。


こういう仕事を減らしてすべて自分発信の仕事ばかりにする、なんてことは現実的じゃありませんが、「やらされている」という感覚を変えることはできます。


つまり、たとえ他人からやらされている仕事であっても、それが自分の成長にどんな意味を持つのかなど、あくまで自分事としてとらえ直すのです。


自分事としてとらえるためには、視点を変えてみる。自律的に行動できるような何かしらの視点を脳に与えてあげることが大事です。


そうやって自分事にすることができれば、脳はやる気を出しやすくなるのです。



どんな分野のことでも結果を出そうと思ったらその前に行動することが大前提です。

つまり、行動がやりやすくなれば必然的に結果も出しやすくなる。


その行動をしにくくする脳の「抑制」を上手に外し、自分だけの「すぐやる脳」をつくっていきましょう。




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