人生読本~20代からの読書日記~: 2016

2016年12月24日土曜日

「必ず結果につながる「思考の習慣」」鳥原 隆志著

今回の本はこちら。

 


●著者・・・鳥原 隆志著

●価格・・・1500円+税

 

この本はインバスケット思考法の第一人者である鳥原隆志さんが、エリートと呼ばれる人たちの思考法の共通点を「思考の習慣」としてまとめられた本です。

 

インバスケット思考法とは一種のビジネスシミュレーションゲームで、ある人がいろいろな状況のなかでどのような行動や考え方をするのか観察しその習慣を分析するツールです。

鳥原さんはこのインバスケット思考法を使い多くの企業で研修などを行って対象の人の習慣が「成果の出やすい習慣」なのか「成果の出にくい習慣」なのかを観察しています。

 

「できる人」や「エリート」と言われる人とはどんな人たちでしょうか?

 

「できる人」たちは成果をあげます。

ですがただ成果をあげるのではなく、成果を“あげ続け”ます。

 

そして成果をあげ続けるためには、あげ続けるための習慣が必要です。

「できる人」というのは、この成果をあげ続ける行動をごく自然に、それこそ習慣として行っているのです。

 

この本ではそのような「成果をあげ続けるための習慣」を、ある若者が成長していくというストーリー形式で紹介しています。

 

① 「計画する時間を確保する」その日のたった数%でもその時間を取るだけで、成果は見違えるようになる

 

あなたは一日の仕事を始める際、どのように始められるでしょうか?

 

始業時間には自分のデスクに着き、その日の仕事にとりかかる…

確かに始業時間には間に合っているのですが、これでは最初から全力を出すことはできません。

では単純に早く仕事を始めればいいのかというと、それはただの早出残業であり根本的な解決にはなっていません。

 

始業の時は、その時点から自身の最大のパフォーマンスを出せるようにしなければなりません。

そして最大のパフォーマンスをあげるためには「計画」「イメージ」「準備」などの行動が重要です。

 

学校などの試験も一問目から順番にやるのではなく問題全体に目を通して確実に点を取れる問題から片付けた方が効率よく得点できるように、実際の仕事でもただ闇雲に案件を処理するのではなく、計画を立て優先順位を決めてから取り掛かることで効率も上がり成果も出やすくなるのです。

 

② カフェで今日の出来事を振り返り、自省したり、モチベーションを保つ方法を考えることで、経験を知識に変えて、自らをさらに向上させることができる

 

日々の業務に追われ気持ちとしては休む間もなく走り続けている。そういう人も多いと思います。

しかしただがむしゃらに働くだけでは、今よりも効率よく成果をあげられるようにはなりません。

 

そういう人にはカフェなどの「サードプレイス」と呼ばれる場所で思索に耽ることをお勧めします。

「サードプレイス」とは「自宅でも会社でもなく一人で落ち着いて考えられる場所」のことで、カフェでなくてもいいですし、一人で自分を振り返ることができるのであれば自宅でも会社でも問題ありません。

 

重要なのはいったん忙しい業務などの日常から離れて、時間を取って自問自答する習慣です。

これは自分を客観視し直す機会であり、いつもはただもやもやしたまま放置している感情を制御したり深く考え結論付けることで自らをコントロールできるようにします。

 

その中で自分のモチベーションを保ったり、行動を改善する方法を考えることでさらに成果をあげられるようにします。

 

③ 学んだことを現場で実践する

 

本を読んだり、セミナーに行ったり、研修を受けたり。

様々な方法で新たな知識やスキルを学んでも、それで満足してしまっては意味がありません。

頭で理解していても、実践できるかどうかは別の問題なのです。

 

様々な形でインプットした内容は実践しアウトプットすることで本当の自分の力となり、真に使える知識や技法として身に付いていきます。

 

見た目上のゴール(昇格や合格など)のある研修や試験勉強も同様で、勉強した後にその知識を実践で使って初めて意味のあるものとなるのです。

 

 

ひとつひとつの習慣は「こんなの当たり前」と思うようなものばかりなのですが、その当たり前ができている人は決して多くはありません。

そしてこの「当たり前」が本当に当たり前になったときに、成果の出る行動が「習慣」になったと言えるのです。

 

この本には他にもたくさんの良い習慣が書かれています。

すぐに全部を身に付けるのは難しいですが、ひとつひとつは誰にでもできる些細なこと。

少しずつでも、「成果の出続ける習慣」を身に付けていきたいものです。

2016年11月24日木曜日

「ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく」堀江 貴文著

今回の本はこちら。







●著者・・・堀江 貴文




ホリエモンこと堀江貴文さんの2013年の著書です。

当時堀江さんはいわゆるライブドア事件で服役しており、この本は出所後の完全書き下ろし第一弾となりました。

といっても刑期を終了したのはこの本が刊行された直後だったということなので、実際には服役中に原稿を書いていたのでしょう。


そのようなタイミングで書かれた本であるため内容的にもそれまでの著書とは少し異なり、堀江さん自身が「ホリエモン」であった自分を振り返りそれまでの著書では表現してこなかった一面をあえて扱ったものとなっています。


「ホリエモン」ではなく「堀江貴文」の背景を説明するために、全体の半分ほども使って自身の出自から学生時代を通した現在までを語り、またそれまであまり表に出てこなかった堀江さん本人の「働くこと」への価値観が読み取れるような内容になっています。


そのなかでもとくに大きなものはタイトルにもなっている「小さなイチを足していく」ことだと思います。


堀江さんは成功へのショートカット=「掛け算」についての質問をよくされるそうで、実際それまでの著作ではその「掛け算」に重点を置いた書き方をしていたそうです。

でもそれは、地道な努力=「足し算」がはじめにあってのことこと。

あまりにも当たり前すぎて堀江さん自身それまであまり表には出さなかった部分です。


この「ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく」では、その「足し算」をこそ中心に書かれています。


① 物事の出発点は「掛け算」ではなく、必ず「足し算」でなければならない。まずはゼロとしての自分に小さなイチを足す。



堀江さんが若い人から受ける質問で最近感じることが、みんな「掛け算の答え」を求めているということだそうです。

「掛け算の答え」とはつまり成功へのショートカット。どうしたら楽に成功できるか(稼げるか)といったことです。


しかし「掛け算」というのは、一度ゼロをかけてしまえばどんな大きな数字でもすべてゼロになってしまいます。

つまりまずはゼロ(自分)を1以上にしなければ全く成果は出ないのです。


もちろんかける数字が大きければ答えも大きくなりますが、それも1になった自分を2や3へと少しずつ足していくことで達成できるのです。

つまり、常に前提は「足し算」なのです。


もう一つ気を付けなければいけないのは、失敗してしまった時のことを考えるときです。

人は誰でも失敗することがあります。ですがたとえそれでこれまでの積み重ねが無になったとしても、マイナスにはなりません。ゼロになるだけです。


ゼロになったら、また「足し算」から始めればいい。


1人の人間ができる失敗などたかが知れていますから、失敗することを恐れて一歩も動けなくなってしまうことの方がよっぽど恐ろしいのです。


どんな時でも、地道に「足し算」から始める。そうすることで、いつでも前に進むことができるのです。


② 人は「仕事が好きだから、営業に没頭する」のではない。順番は逆で、「営業に没頭したから、仕事が好きになる」のだ。



「あいつは仕事が好きだからうまくいっているんだ」どこかで聞きそうなセリフですね。

同じ仕事をしているはずなのに自分はストレスだらけでどうにもうまくいかない。それはこの仕事が好きじゃないからだ…という感じにつながっていくのでしょうか。


しかしそれは、その仕事が「他人から与えられた仕事」だからです。

自分で無から作り出すとかそういうことではありません。受動的に人から与えられただけの仕事では反発心も湧きやりがいも感じにくいものです。


ですが能動的に取り組めばやりがいも見つけられその仕事に没頭でき、結果的に仕事を好きになることができるのです。


ではどうすれば没頭できるのか。

それはつまり「自分の手でルールを作る」ことです。


同じ仕事でもこうして自分の手でルールを作り、自分で立てたプランなら納得感をもって取り組めるのです。


そうして仕事に没頭し、仕事を好きになるのです。

逆に言えば、仕事が嫌いだと思っている人はただの経験不足なのです。


③ 働くことは生きること。僕らは、自らの生を充実させるために働くのだ。



多くの人は給料を我慢と引き換えに受け取る対価だと思っています。しかしそれではお金というものを色眼鏡をかけて見てしまいます。


それに仕事とは人生で最も多くの時間を投じるもののひとつなのに、それを我慢の時間にしてしまうのは間違っています。


それでもその状況に甘んじ、なおなにがしかの不自由さを感じている人は少なくないはずです。

しかしこれは時代や環境のせいではありません。


そういう人はその環境に自ら満足してしまい、思考停止しているのです。


確かにその方が楽です。

楽ですが、そうやって思考停止することで人は急速にオヤジ化してしまいます。前に進むことを止め、前例や常識ばかりを口にする心の「オヤジ」になってしまうのです。


そうならないためには、とにかく何事も自分の手で選ぶこと。

常に満足せず、自分の頭で考える。


仕事でも同じことが言えるでしょう。

そうやって自分で考え、工夫し、没頭することで仕事を好きになり、人生の多くの時間を充実したものにしていくのです。



この本は大きな意味での働き方を通して“堀江貴文”の内面を垣間見られる一冊です。


前半に書かれているご自身の半生を読んでももちろんわかるのですが、この本では一貫して「仕事」と「人生」をテーマとしており、それらを通して「自由」になるための考え方が書かれています。


そしてそのためにはひたすら“ゼロの自分にイチを足す”。

そういう地道な努力、そして考えることと働くことは車の両輪のようなものです。どちらが欠けてもうまく前には進めず、両方とも重要なのです。


演劇界(特に小劇場界)では、「好きな芝居をするために我慢してアルバイトに多量の時間を使う」という人がよくいますが、この本を読んでみるとそういう生き方も何か少しずれているのではないかと思ってしまいます。果たしてそれで本当に充実しているのか、と。


また学びという点についても、芝居には限りませんがどんなスキルも一足飛びに上達したりはしません。


やはりつねに“ゼロの自分にイチを足す”ことが必要なのです。




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2016年11月6日日曜日

「わかりやすく〈伝える〉技術」池上 彰著

今回の本はこちら。

 


●著者・・・池上 彰著

●価格・・・740円+税


NHKの記者で現在も多くの番組でニュースや世界情勢の解説をなさっている池上彰さんの本です。

この本ではタイトルの通り池上さんが様々な番組で説明や解説をしていく中で培ってきた具体的な「わかりやすく〈伝える〉技術」を紹介してくださっています。

実際この本を読むと普段の池上さんの番組でもよく使われていて、聞いていても確かにわかりやすい解説になっているのは言うまでもないでしょう。



①わかりやすい説明とは、相手に「地図」を渡すようなもの→“リード”


「リード」とは「前文」という意味です。

NHKでは最初にニュース原稿の書き方を訓練する際そのニュースの頭に必ずリード、「これはこういうニュースですよ」という簡単にそのニュースを示す前文を付けるよう教えられるそうです。

このリードがあることで大雑把にですが内容の全体像をとらえることができるので、聴き手は細かい内容も「これがあの結論につながるのだな」としっかり聴きやすくなるのです。


池上さんはわかりやすく説明することを「相手に地図を渡すようなもの」だと表現しています。この地図にあたるのがリードです。


地図があることで話の目的地がわかるので、どのようなルートを通るのかわかりやすくなるのです。

目的地のわからない話では新しい情報が出てくるたびに「これは何に関係するんだろう?」といちいち考えながら聴かねばならず、話に集中できなくなってしまいます。


また話の予定所要時間も最初に明示しておくことで聴き手は安心して聴けるようになります。先行きの見えない旅では不安になってしまいますからね。

質疑応答などももしあるのでしたら最初に伝えておくことで、「ここはあとで質問しよう」と考えて聴くことができるので、より有意義なものになるでしょう。


リードを考えることは聴き手だけでなく話し手にも効果があります。

リードとは話の全体像をまとめたものですから、当然その内容自体がまとまっていなければ書けません。

いざリードを書こうと思ってもその時になって初めて必要な情報が足りないことに気づいたりします。


つまりリードを書くことを前提に情報を集め内容を考えていけば、自然にわかりやすくまとまっていくのです。



②長くてわかりにくい文というのは、実は単に論理的でなかっただけということが多い


難しい単語をいろいろ並べて「~で、~ということから、~といえる」なんて言われたら、なんとなく重要で論理的に話しているように聞こえてきます。

でも、本当にそうなのでしょうか?


長い文章というのは、ひとつの文章の中に複数の意味が含まれていてなかなか理解しやすいとは言えません。

これはまず単純に量が多すぎるという問題があります。
物に例えると、一人で一度に運べる荷物には限界があります。たとえ持てたとしても、それがぎりぎりの量なら動きが鈍くなったり周りが見えなくなったりしてしまいます。ですが、これを小分けにするとすんなり運ぶことができます。

文章も同じで、長い文章は短く区切ってしまい聴き手に少しずつ理解してもらうことでよりわかりやすくなります。


このとき実は、長い文章のもう一つの問題が浮き彫りになることがあります。


本当に論理的に意味の通っている文章なら短く区切ってもそのまま論理的に理解することができるのですが、この段階で意味がよくわからなくなってしまう文章というものがあります。

これは、そもそも長い文章だった時から実は論理が破綻していたのです。


そのような長い文章をよく見ると、途中いろんな接続詞でさまざまな文章をつなげていることがよくあります。


文章と文章が接続詞でつながっているとなんとなく論理的な気がしてしまいますが、本当に論理的な文章であれば無駄に接続詞など使わなくてもしっかり意味が通るものなのです。


このような状態を意識的に避けるためにも、長い文章は短く区切る。そうして読み直したときに意味が通っていなければ、改めて文章全体を見直すことでよりわかりやすい文章になるのです。


③「自分が理解する」ということと「他人に説明できるほど理解する」ということの間には、大きな落差がある


自分では理解したつもりでも、他人から「じゃあ説明してくれ」と言われるとなかなか簡単に説明できるものではありません。


人は、自分の頭の中にあるバラバラな情報(知識)が一つにつながったときに「わかった」と思うものです。

ということは他人にわかってもらうには、その人の頭の中にどんな知識があるかを考え予測しながら、その知識を論理的につなげていく必要があります。

相手の知識の段階によってもちろん必要な説明も変わってくるのですが、いずれにしろこのレベルで説明するのは大変なことです。


ここまでしっかり説明するためには、それ以上に自分が理解している必要があります。

自分がなんとなく「わかった」と思っている段階では、実は他人に説明できるほどにはわかっていないことが多いのです。


他人に説明するということがここまで大変なのですから、最初から「他人に説明する」という前提で調べていくと自分の理解が飛躍的に進みます。


理解するということはインプットの作業ですが、説明するアウトプットを行うことでアウトプットするために本当に必要なものは何かを知ることができ、そのためにどうインプットするべきかがわかるのです。

表裏一体のインプットとアウトプットを行うことで自分もよく理解でき、他人にもわかりやすく説明することができるのです。



この本を読んで強く印象に残ったのは、「わかりやすく〈伝える〉技術」というのはつまりいかに自分が理解するかにかかっているのだ、ということです。

もちろん理解したうえでそれをさらにわかりやすくする方法もたくさんあるのですが、それもすべて自分がしっかり理解していることが大前提です。


また「伝える技術」を知ることで、自分が「伝わりにくい」説明を聞いたときに何を整理して聴いたらよりわかりやすくなるのかもわかり、理解の助けになると思います。


お芝居をする上でもこの「わかりやすく〈伝える〉技術」の必要性は痛烈に感じました。


それはお客様に観てもらう前の段階、演出家と役者間や役者同士の間で特に重要だと思います。

演出家は役者がどういう理解をしているのかを予測しながら自分の考えを伝える必要がありますし、役者も相手の演出家や共演する他の役者に自分の考えを正確に伝えないと息の合った芝居を作ることはできません。

こういう点でお互いの理解に行き違いを生じている現場は数多くあります。演劇界はまだまだ縦社会なので多少の意見の違いは無理やり解決したりしますが、それでもわだかまりは残るでしょうし、自分たちが正確に理解していない物語をお客様に理解してもらおうというのも不可能な話です。


現代では直接他人に会わなくてもできることがかなり増えてきましたが、それでもどんなことをしてもその先には自分以外の他人がいるはずです。

他人と関わらないでは生きていけない人間社会において、この「わかりやすく〈伝える〉技術」は誰にとっても必須のスキルとなることでしょう。




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「僕らが毎日やっている最強の読み方」池上 彰 佐藤 優著

2016年10月26日水曜日

「すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な”方法」菅原 洋平著

今回の本はこちら。

 


●著者・・・菅原 洋平著

●価格・・・1380円+税


この本はリハビリテーションの専門家である“作業療法士”の菅原洋平さんが、“脳の使い方”という観点から僕たちが物事をすぐやるのかやらないのか、つまり行動力に影響を及ぼす方法を教えてくれています。


僕たちは自分の行動力がやる気や才能といったものに左右され、またそういったもので変化させようとしたりします。

ですが実際に行動力を向上させるために必要なのは精神力ではなく、自分の“脳の使い方”を知り、自分が行動しやすいように仕向けてやることだったのです。


この本ではリハビリの現場での例も挙げながら説明してくれますが、身体に傷や障害を抱えた人達にはっきり効果が表れるのですから僕たちが健康であれば応用するのはそう難しいことではないはずです。


では行動力を高めるためには、なにを意識して行ったらいいのでしょうか。


①起床から4時間後に頭がスッキリと冴えていますか?


脳が「すぐやる」モードになるためには、もちろん睡眠不足ではいけません。そのような状態ではどんなに技術を駆使しても「すぐやる」モードにはならないでしょうし、頭がぼーっとして外から入ってくる情報にも鈍い反応しかできません。


起床から4時間後というのは脳の活動が最も活発になる「1日で一番頭がいい状態」の瞬間です。

ですから、この時間に自分の頭がスッキリしているかどうかで睡眠の質を確かめることができます。


必要な睡眠時間は個人差がありますし、同じ人でも季節によって変わってきます。なので、睡眠時間などではなく「起床から4時間後」をチェックすることでその日の状態を知ることができるのです。


さらに睡眠というのは、その人の「問題に対する姿勢」がもろに出てしまいます。

自分の睡眠の状態を知り、日々高い睡眠の質を保っている人は「問題を起こさないようにする」という考え方ができている人です。つまり自分の人生の時間をマネジメントする意識があるということです。

これとは反対に睡眠が不足しがちな人は「問題が起こってから対処する」と考えている傾向があります。例えば朝起きられないから目覚まし時計を増やしたり栄養ドリンクを飲むようにしたり、などです。


この「問題に対する姿勢」は、普段の仕事の様子にも同じように表れてしまいます。


思考の傾向を直すためにも、そして毎日スッキリした頭で高い行動力を発揮するためにも、まずは睡眠の質から改善していく必要があるのです。


②真似したい相手と同じ方向を向き、横並びの状態になる


脳には「ミラーニューロン」と呼ばれる神経群があり、この働きにより人は無意識に他人の行動の真似をしてしまいます。テレビなどでスポーツを観戦してると自分もやってる気分になるのもこのミラーニューロンの働きによるものです。


この真似をする性質は良いことでも悪いことでも関係なく働きます。この本のテーマでいうと「すぐやらない人」が自分の周りにいた場合、自分もその人を無意識に真似てしまい「すぐやらない状態」になってしまうのです。


このため、脳に真似をさせる相手には注意しなければなりません。

この性質を使い「すぐやる」ようになるためには、真似したくない「すぐやらない人」は極力自分の目に入らないようにし、真似したい「すぐやる人」が視界に入るようにします。


この時、その人の横で同じ向きになるように並びます。


向かい合って行動を見た場合、一度脳の中でその行動を反転させて自分にあてはめなければいけません。これ自体は普段からやっていることなのですが、それでも脳には立派な課題となり、エネルギーを消費してしまいます。

横並びなら自分も見た通りに行動すればいいので、脳への負担も少なく真似しやすくなります。


③「わざ言語を」理解するためには、自分が「わざ言語」を使ってみるしかない


「わざ言語」とは「自分の体験から得た感覚をもとにして組み立てた言語」のことです。

例えば声楽家が高音を出すときにその方法を「声は頭のてっぺんから出すように」と表現したりするものです。


この「わざ言語」を使う「できる人」は、実はその時点で「できない人」の感覚を忘れてしまっています。

そしてもちろん「できない人」はその「わざ言語」によるできる感覚がわかりません。

なのでたとえ「すぐやる人」の話を「すぐやらない人」が聞いても、そのまま自分が「すぐやる人」になれるわけではないのです。


この両者を分けている壁が「わざ言語」です。

つまり、「すぐやらない人」が「すぐやる人」になるためにはこの「わざ言語」を理解し、壁を乗り越える必要があるのです。


しかし前述したように「わざ言語」を理解できないから「すぐやらない人」なわけですから、そう簡単に100%理解できるようにはなりません。

それでも少しでも実行しその感覚を言葉にする、つまり「わざ言語」を使っていくことで多少なら理解することができるはずです。そうなれば「すぐやる人」に、少しずつですが近づくことができるのです。



この本では脳の機能の説明と共に他にも多くの「すぐやる」ための技術を教えてくれています。

「すぐやる」ために必要なのは気合や根性ではなく、あくまで脳の性質に沿った考え方と行動です。

脳の影響を受けるだけではなく、逆に脳に影響を与え自分の行動を変え「すぐやる人」になっていきましょう。




関連書籍記事
「結果を出せる人になる!「すぐやる脳」のつくり方」茂木 健一郎著

2016年10月8日土曜日

「仕事の結果は「はじめる前」に決まっている」大嶋 祥誉著

今回の本はこちら。




●書名・・・仕事の結果は「はじめる前」に決まっている マッキンゼーで学んだ段取りの技法
●著者・・・大嶋 祥誉著


この「仕事の結果は「はじめる前」に決まっている」は、世界最高峰のコンサルティング会社ともいわれるマッキンゼーでコンサルタントとして働いていた経歴を持つ著者による、限られた時間の中で大きな成果を出すための仕事の段取り術について書かれた本です。


限られた時間の中で最高の質のアウトプットを出す思考法、著者はこれを「ミニマム思考」と呼んでいます。


「ミニマム思考」では仕事の無駄を省き重要な点にフォーカスすることで、仕事の質とスピードを向上させていきます。


そのために“仕事をはじめる前の段取り”が重要なのですね。



①あなたの提供するバリュー(価値)は何でしょうか?


ミニマム思考において最も重要な概念がこのバリューです。


バリューとは価値という意味ですが、ミニマム思考においてはその仕事をする上での“自分もしくは相手にとっての「メリット」”といったものです。


自分の仕事は自分自身にとってどんなメリットがあるのか。また相手にどんなメリットを提供しているのか。このバリューはどんな仕事にも存在します。そしてバリューとは誰かに決められたりなんとなく決まるものではなく、その仕事をする自分自身で決めるものです。


このバリューが意識できると、その仕事をするうえで必要なことや無駄なことが自然と浮き彫りになってきます。無駄なことはやらなければいいので、始める前から時間を短縮することができます。


逆にこのバリューがしっかりと明確になっていないとどんな作業が必要なのかわからず迷走してしまい、余計に時間がかかってしまいます。


②仮説を意識していないと、どこから手を付けていいかわからない

バリューを決めたら、次はそのバリューを生み出すための方法を考える必要があります。


しかしこの時なにもとっかかりがないと、それこそ方法は無数に存在するのでどれからやればいいのか、またどれが真に効果的なのか分からず途方に暮れてしまいます。


そこで、バリューを生み出すための仮のアイデア、“仮説”を立ててその後の行動を決めていきます。


適切な仮説が立てられればそれを解決することでバリューが生み出されるので、一番短時間で済みます。


そして適切な仮説を立てるためには明確なゴール(バリュー)をイメージし、それに沿った情報を集めることが大切になります。


こうして仮説を立て検証し、違っていたらまた別の仮説を立てる。



仮説がなければどの問題から手を付ければいいのかわかりませんが、仮説を立てることで逆にやることが絞られ短時間で質の高いアウトプットを出すことにつながります。


③高いバリューを生み出せるミニマム思考の人は、五感が鈍らないような習慣を持っている


バリューを決めるにも仮説を立てるにも情報収集が欠かせません。


しかし疲れて集中力が鈍ってしまうと、手に入れた情報の意味を正しく理解することができなくなってしまいます。そもそも集中力が鈍っているので情報の取りこぼしも起こるでしょうし、作業自体もはかどりません。



ミニマム思考の人は“最小の労力で成果を出す”という考え方をするので、そういう状況になる前に体調を整えてしまいます。


具体的には、睡眠不足にならないように常にしっかり睡眠をとったり、定期的に瞑想などをして頭の中を整理したりします。



人の脳はぼーっとしている時間にも活動的に働いているようで、これを「デフォルトモードネットワーク」といいます。

この時脳は蓄積された情報をつなぎ合わせ、ひとつの意味につなげる活動をしています。点と点をつなぎ合わせ線や面にしていくようなものですね。

そうすることで新たなアイデアが生まれ、解決の突破口になったりします。



このような機会を逃さないためにも、ミニマム思考の人は定期的にしっかり休息をとり自分の五感が常に万全な状態であるように気をつけるのです。

まとめ


最近は社会全体のテンポがスピードアップしてきて「走りながら考えろ」などと言われたりもしますが、人間はそういくつも別のことを一緒にできるわけではありません。必死に走っている時は走っていることにどうしても意識が向いてしまい、そのほかのより効果的な方法になかなか気づくことができません。


限られた時間で質の高いアウトプットを出すためには「はじめる前」にその仕事の最終成果物(目的)を考えバリュー(価値)を決定し、仮説を立てることで作業の全体を設計し実行する。


こうすることで無駄を省き、周りが驚くほどクォリティの高い仕事ができるようになるでしょう。




2016年10月5日水曜日

「レバレッジ時間術 ノーリスク・ハイリターンの成功原則」本田 直之著


今回の本はこちら。

 


●著者・・・本田 直之著




とかく成果が重視される最近の社会で、時間は最も貴重な資源です。誰でも平等に一日24時間しかありませんので、その中でより大きい成果を出そうと思ったら効率を上げ、時間の密度を濃くするしかありません。


「レバレッジ」とは「てこの原理」のことです。

この本は時間という限られた資源に対し“てこの原理”を働かせることで、最小限の時間で最大限の成果をあげるための心構えや方法論が書かれています。


著者の本田直之さんは他にも「レバレッジ・リーディング」や「レバレッジ・シンキング」など多数の著書がありますが、今回の「レバレッジ時間術」はその中でも特に時間に焦点を当てた内容になっています。



①時間投資の基本は「仕組み」づくり


定期的に行う仕事や作業の場合、毎回一から考えて作業を始めていたのでは何度も同じ内容を考えることになってしまいます。

そこで毎回同じ部分はマニュアルを作ったりチェックリストを作ったりして、たいして考えなくても常に同じ質の作業ができるようにする。これが「仕組み」作りです。

こうすることでその作業を行うごとに毎回、「仕組み」を利用しない場合より時間を短縮することができます。


またその仕組みにより他の人でも自分と同じようにその作業ができるようになれば、その作業を他人に任せることで自分が使う時間はごくわずかになりますし。
また多くの人に教えて規模を大きくすることもできます。


「仕組み」作りには相当な時間がかかりますが、一度作ってしまえば何度でもその恩恵を受けることができます。こうして短縮された時間でさらに別の仕事の「仕組み」作りを行う。そしてまた短縮された時間で別の仕事を…と続けていくことができるため、「仕組み」づくりへの時間投資は“複利的に”増やしていくことが可能なのです。


②課題を設定し、俯瞰逆算してスケジュールに乗せること。そこまでできれば、あとはそれを日々実行していくのみ




何か予定が生じたらそれを手帳に書き込む。そのような方法でも日々の仕事をすることはできるのですが、これでは自分以外の力によって常に時間を支配されてしまいます。

空いた時間ができたらそこで読書をしたり勉強をしたりしたいと思っても、そこに急に仕事が入ったり問題が起きたりして結局当初の目的を果たすことは出来ません。


本田さんをこれを「パッシブ(受動的な)・スケジュール」と呼んでいます。

時間投資の考え方に大切なのはこれと反対の「アクティブ(能動的な)・スケジュール」です。


「アクティブ・スケジュール」とは逆算型、つまり最後から順番に決めていく方法です。


まずその時の課題をクリアするゴールを設定します。この課題とは別にネガティブなものではなく仕事上の成果でもいいし自分が新たに学びたいことでもいいでしょう。

ゴールとはその課題の内容と、その課題を達成する期日です。○月×日までに売り上げを○%上げる、というような感じですね。


このようにゴールを設定することで、クリアするためにはいつまでにどこまで進めなければならないという中継地点が明確になります。これがわかれば、あとはそれをもとに日々のスケジュールを組み地道に行動に移していきます。


これは無駄な作業を省くのにも有効です。発生した仕事から順に処理しようとすると、本当は達成したい課題に関係ない仕事も気づかずやってしまいどんどん作業時間が増えていってしまい、最終的に期日に間に合わないなんてことにもなりかねません。

逆に期日と最低限の目標がわかっていれば、それに不必要な作業は最初から省くことができます。こうすることで短い時間でも課題をクリアする確率が格段に上がります。


③自分でゼロから始めるのと、すぐれた先輩のやり方を学んで、そこからスタートするのとでは、時間効率が圧倒的に違う



どんなことでも全く知らないことを最初から自分でやろうと思ったらかなり苦労することになると思います。もちろんそこで苦労するから身に付くんだという考え方もありますが、それにしても成果に対して時間がかかりすぎます。


また応用方法も、世の中にすでにいろいろ試している先人がたくさんいるのに、その人たちと同じ試行錯誤を繰り返すことになりかねません。


これらを避けるためには、同じようなことをやっていた先輩などに聞いてその方法を真似すればいいのです。

もちろん直接の先輩でもいいし本などで勉強してという形でもいいでしょう。

とにかくまず真似をすることで、最低限その元の人と同じくらいの水準まで自分のレベルを一気に上げることができます。そこから、自分なりの試行錯誤をすることに時間をかければいいのです。


スポーツや演劇でも先輩の技術を真似して盗むのは日常的に行われている勉強の基本です。

一般の方でも、真似をすることでかなり時間を有効に使うことができます。



時間とは人間全員に平等に与えられる唯一の資産です。

しかも時間はお金のようにためることもできなければ稼いで増やすこともできません。
だからこそ、お金以上に真剣に考え工夫することによって効率を上げ、より大きな成果を出し、最終的に自分の目指す目標に到達する力として無駄なく利用していきましょう。






関連書籍記事
「レバレッジ勉強法」本田 直之著
「レバレッジ・シンキング」本田 直之著

2016年9月22日木曜日

「99%の会社はいらない」堀江 貴文著


今回の本はこちら。

 


●著者・・・堀江 貴文




99%の会社はいらない、とはなかなかショッキングなタイトルですが、これは単に会社という組織を否定しているのではなく「他人に押し付けられた嫌な仕事をするのではなく、自分の好きなやりたいことをやることに自分の時間を使うべきだ」という著者堀江さんの考えを極端にあらわしたものです。


もちろん日本の会社に属していても、その中で自分の好きな仕事を満喫している人はいるでしょう。しかし堀江さんはそれを「100人に1人くらいだろう」と予想。


すなわち「99%の会社はいらない」となるのです。



①「自分の時間」であれば、楽しい毎日を送ることは難しくない。忙しいことは幸せであり、自分の時間を生きることが幸せの指標になると考えている



外から見える堀江さんはかなり「忙しい人」のような印象があります。実際Twitterなどを見ても、普段数多くの企画を動かしているのに他の人のツイートもよく見ているし自身に対するコメントへの返事などもかなり多くやっているように思えます。


このような毎日を送っていても、実は本人は「そんなに忙しくない」と感じているそうです。というのも、やっている企画や仕事は常に自分が楽しいと思うことをやっているのでたとえ忙しくてもそれを楽しんでいる。なので、他の「忙しい忙しい」と口にする人たちみたいには「そんなに忙しいと感じない」のだそうです。


現在惰性で会社に勤めている人に、こういう人はあまりいないでしょう。特に最近は自分の楽しいことを追求したうえでそれを収益化する方法が多数出てきているので、いやいや会社勤めをするくらいなら個人で楽しく働いていくという選択肢もかなり大きくなっています。なによりこの「楽しい」という時間を過ごすことがそれぞれの「幸せ」につながるのです。


②お金は時間を効率化させるためのツール



日本人はおおっぴらにお金の話をするのがあまり良くないことととらえていることが多いようです。それでもやっぱり生活のため、先立つもののことを考えてしまう。そこで将来の安定を願って誰もが同じように就職する(本当はそれすらも安定はしていないのですが)。となると、さまざまな仕事が機械化されれば自分の仕事が取られてしまうんじゃないかと戦々恐々とする・・・


でも本当はそんな心配する必要ないんです。機会が代わってくれたぶん収入が減ると考えるのではなく、その時間でさらに楽しい別の仕事をして稼げばいいだけなのですから。


そして本当に大切で効率的に使わなきゃいけないのは、お金よりも「時間」です。お金はなくなっても稼ぐことができますが時間はそうはいきません。ですから本来お金とは、その時間をどんどん効率的に使えるようにするために投資するべき「ツール」なのです。


③好きなことを続けるためにも、それがさらに楽しめる場をどう作っていくのかは大切



どんな分野でも成功するためには、まず既に成功している人の方法を真似してさらに改善し、それを愚直に続けていく。続けていってブラッシュアップする。ひたすらこれの繰り返しで、確実に成功することができます。


とはいえこの続けるというのがなかなか曲者で、続けることができずに途中で挫折してしまう人が多いのです。


そりゃたとえ楽しいことでもただひたすら無限に続けるのは難しいかもしれません。でもそれならば、「難しい」で終わらせるのではなくどうやったら楽しく続けていけるか工夫していけばいいのです。そこに時間をかけることでそのあとひたすら続けられるのであれば、決して高い投資ではないはず。


好きなことを続ける、そして続けられる好きなことを保ち続ける。これがこれからの社会で生きていくうえで大切なことなのです。




まとめ


黙して働く、というのはある種日本人の美意識にかなった姿なのかもしれません。しかしそれにより個人が自分の人生を楽しめないでいるのだとしたら、それはとてももったいないことです。


それに大人になるにつれて「楽しむ」ことからみんな少しずつ遠ざかっているような気がします。日々働くのはつらいこと、でもそれに耐えなければお金を稼ぎ生活していくことはできない・・・本当にそうでしょうか。そんなのいつの間にか出来上がった思い込みなのではないでしょうか。


この「99%の会社はいらない」はその思い込みを壊してくれる、そして僕たちに「楽しく生きる」ことを思い出させてくれる、そんな頼もしい一冊です。



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2016年9月13日火曜日

「仕事の教科書」髙𣘺 秀幸著


今回の本はこちら。

 


●著者・・・髙𣘺 秀幸著

●価格・・・1400円+税

 

この本は「仕事の教科書」というタイトルですが、内容としてはよくあるビジネススキルなどではなくもっと基本の“プロのビジネスパーソンとしての心構え”を教えてくれるものです。

 

基本と言っても、現在働いている40代~50代の人達でもなかなか完璧ではないものばかり。

 

つまりこれを習得するだけでビジネスパーソンとしてかなり高いレベルになれる仕事の本質が、60日間で身に付けられるプログラムとして書かれています。

 

プロのビジネスパーソンとは、どんな雇用形態であっても、どんな仕事であっても、目標達成を有言実行し、きちんと成果が出せる社員

 

「会社がこうだからいけない」とか「上司が悪いから成績が上がらない」とか、毎日一生懸命働いているとつい言ってしまいたくなりますが、本当にそうなのでしょうか?

 

労働環境が悪い会社をブラック企業などと言ったりしますが、この本ではその企業の理念に賛同したからこそ就職したはずなのにその企業の求める社員像も知らずただ組織を批判し会社に来れば給料をもらえると思っている社員のことを“ブラック社員”と呼んでいます。

 

しかしプロのビジネスパーソンは違います。プロは常に成果や結果を出し会社に貢献することで評価され、また自身でもそういう態度で仕事に臨みます。

周りのせいにするのではなく、何事も自分事としてとらえ解決していくのです。

 

②トップ5%の「人財」になれ


この本では「人ザイ」を4種類に分けています。

「人財」・・・スキルも優秀で会社の理念もしっかり理解しているプロのビジネスパーソンです。とくにこの中でも上位5%は有能で、プロ中のプロです。

「人材」・・・スキルは多少劣りますが会社の理念はしっかり理解しています。志の高い新入社員などに多いタイプです。「人財」になる素養があります。

「人在」・・・スキルは高いけれど理念への共感度は低く、モチベーションも低い。良い条件であれば転職もいとわない、愛社精神の低い社員です。

「人罪」・・・スキルもマインドも低く、いわゆる給料泥棒。

以上4種類の「人ザイ」で「人財」が最も優秀なのは言うまでもないですが、その中でもさらに上位5%になるように自分のスキルとマインドを磨いていくべきです。そして実際その5%に入ると、周りの景色がこれまでと一変します。そうやって自分の視座を高くすることで、さらに優秀な「人財」になることができるでしょう。

 

③「下積み」の経験値が低い人に「上積み」の仕事は出来ない。

 

若いうちや新しいジャンルに挑戦し始めたときなどはどうしても作業のような、単調で一見つまらない仕事が多いと思います。そこでつい「もっといい仕事をさせてもらえれば・・・」なんて思ったりもしますが、なかなかそうはいきません。

そもそも最初の一番簡単な仕事も完璧には出来ないような奴に、より規模の大きな、より重大な責任のある仕事を任せられるわけがないのです。

 

人はなにかと近道を探したがりますが、物事にはそれなりの順序がありますし、そういうことを考える人はたいてい未熟なのです。

 

それに人は意外とよく見てくれているものです。

もし雑用ですら世界一のレベルでこなせる人物がいたら、むしろまわりがその人を放っておかないでしょう。

 

 

僕自身は俳優なので会社員という雇用形態とは少し離れたところにいますが、この本の内容はいわゆる会社にとどまらず世界中の様々な組織、さまざまな仕事をする際に心に留めておかなくてはならない大事なことでいっぱいです。

 

しかしこれらの基本は実際の仕事とは異なるもの。本来は働くこと以前にこの基本を押さえ、そのうえで自分の仕事に活かしていくことが必要です。

 

本当のスタートラインはこの60日間のあと。ですがそれは、他の人たちとは比較にならないほど有利なスタートになることでしょう。

2016年8月30日火曜日

「成功したけりゃ、脳に「一流のウソ」を語れ」西田 文郎著




●書名・・・成功したけりゃ、脳に「一流のウソ」を語れ
●著者・・・西田 文郎著
●価格・・・1400円+税


ウソ、というと世間的にはかなりネガティブな印象の言葉だと思います。
しかしこの本で取り扱う「ウソ」はそういうものではなく、むしろ人生を好転させるために役に立つ非常にポジティブなウソです。


ウソというのは「事実と違うこと」です。
もう少し広くとらえると「現状と違うこと」「今の認識と違うこと」ともいえます。


これは
・現状と違うこと→目標など
・今の認識と違うこと→物事のとらえかた、視点
ともいうことができ、これらをうまく使うことで自分の能力を向上させたり今より大幅に成果をあげることができるようになります。


この本にはそんな「ウソ」を使った方法がたくさん紹介されています。




①予言の自己成就


なんだか難しい言葉ですが、簡単に言うと人間はたとえ根拠がなくても何かを心から信じると現状とのギャップを埋めるためにその信じたものに沿った行動をとるようになるということです。
最初に大きな目標を立ててそれに向けた小さな目標を立て実行していくことなどがこれに当てはまります。極端な話、目標を立てた段階ではその目標は現実ではないのですから「ウソ」となります。


スポーツ選手などのイメージトレーニングも同様です。
人間の脳は現実とイメージを区別できないという特徴があるので、繰り返し具体的にイメージし続けることで現実をイメージに近づけるためにいつしかイメージの通り振る舞うようになり現実を引き寄せることができるのです。


②クリアリング


人間の脳はたとえ何度マイナス思考になっても、最後の一回でプラス思考になればそれまでのマイナスが帳消しになりプラスの感情を抱くという強烈な特徴を持っているそうで、これを「クリアリング」と呼びます。
つまりこの特徴を使えばどんなときでも思考をプラスの状態に切り替えることができます。


とはいえいざマイナス思考になってしまうとなかなかプラスのことは考えにくくなってしまいます。
そんなときのために、自分専用の「クリアリング・ワード」を決めておくとマイナス思考に対抗しやすいそうです。
クリアリング・ワードは強く、短く口にできるものを選び、それを言えば気分が切り替わると自分の脳に「ウソ」を信じ込ませることで、いつでもプラス思考に持っていくことができます。


あと、目標の言葉の最後に「~なんてチョロイ」と付け加えるのも大変さや困難なイメージを打ち消す良い言葉だそうです。


③脳は「具体的でイキイキとした思い」をインプットされた時だけ、その実現に向かってフルパワーで動き出すメカニズムになっている。


「幸せになりたい」という思いは僕たち全員が持っていると思います。しかしこのような目標は決して達成されることはありません。
なぜなら何をもって「幸せ」とするのかは誰にもわからないからです。つまり、具体性に欠けるのです。


では具体的ならいいのかというと、それだけでも目標は達成されません。
たとえば「今月の売上目標は2000万円」などという目標は確かに具体的なのですが、それだけだとただの数字としか認識できず脳はワクワクしないのです。すると自分たちの能力を引き出すことができずに、目標は達成されません。


僕たちの脳は「具体的で、イキイキとした思い」のある目標を与えられた時にこそ、僕たち自身の能力を無限に引き出してくれるスーパーツールとなるのです。




人間の脳とは不思議なもので、素晴らしい力を持っているのですがその扱い方が難しい。
しかしその脳を「ウソ」という“現実ではない”手段を使って操り、さまざまな望ましい“現実”を作る方法をこの本は教えてくれます。


他人に迷惑をかける「悪いウソ」はいけませんが、自分も周りも幸せにする「良いウソ」をどんどんついて、自分の脳に刷り込んでいきましょう。



2016年8月24日水曜日

「大局観」羽生 善治著


●書名・・・大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)
●著者・・・羽生 善治著
●価格・・・800円+税


「大局観」とは少し耳慣れない言葉ですが、「大局を見る」などと使われるように物事を部分ではなく全体として俯瞰して見るといったところでしょうか。


著者の羽生善治さんは言わずと知れた将棋の名人ですね。この「大局観」の他にも「決断力」や「直観力」など様々な本を書いています。


将棋では部分部分の駆け引きだけではなく盤面全体のことも考えて戦っていかなければなりませんから、自然とこの「大局観」が重要になってきます。
しかし羽生さんの言っている「大局観」とは、実際には盤面のみにとどまらず勝負の前後、もはや将棋以外の場面のことも含まれています。応用が利くとかいう話ではなく、この場合それらを含めてなお将棋に戻ることなのでしょう。


そんな「大局観」ですから、もちろん日常でも非常に重要な考え方と言えます。


①同じ戦法を手堅くとり続けるということは、一見すると最も安全なやり方のように思えるが、長いスパンで考えたら、実は最もリスキーなやり方


現在の将棋界はもちろん以前より情報化が進んでいるため、なにか画期的な戦法があってもすぐに研究され対策を立てられてしまうそうです。時間が経つほどこの研究は進むので、同じ戦法をとり続けるとそれだけより多くの対策が立てられることにもなります。これに対抗するためには、常に新しい戦法を研究し使っていくしかありません。


これは日常生活でも同様です。
意識しないと人間はその日の行動の約8割が昨日と同じだと言われています。


あまり気に入らなくともただ安定しているという理由だけでいつも同じ仕事をしている人も多いでしょう。
しかしとかく変化の多い現代、いつ何が起こるか誰にもわかりません。急に今の仕事がなくなるかもしれないし自身が体調を崩すことも十分考えられます。こんなとき、それまで少しも挑戦することがなかったとしたら、使える手札は限りなく少なくなってしまいます。


こういう“本当のリスク”を避けるためにも、普段からすこしずつでも新しいことに挑戦し、自らリスクをとっていく必要があるのです。


②「大局観」では「終わりの局面」をイメージする。最終的に「こうなるのではないか」という仮定を作り、そこに「論理を合わせていく」ということ


将棋はスタートの形が常に同じで、相手と一手ずつ指していくことも同じで、指せる手は無限にあります。
そのなかでお互いただやみくもに指していったのでは勝負の流れも見えず行き当たりばったりの内容になってしまうでしょう。


「大局観」の世界では、まずだいたいの勝負の方向性を想像し、そこに向かってこれからの手を考えていきます。簡単に言えば自分の「勝ち」を想像し、そのために必要な手を指していきます。


これも将棋に限ったことではありません。
よくある目標管理などもその目標を達成するためにどうしたらいいかなどを考えていきますが、その目標さえも最終的に到達したい点から逆算して考えていく必要があります。
もちろんその考えた通りにすべての物事が進むわけではないので途中修正は必要になるでしょうが、それも最終的な目標がしっかり定まっていればある一定の範囲内で収まるはずです。


このように物理的な全体像だけでなく時間的に先まで見越すことも、重要な「大局観」と言えるのです。


③所有しているすべてのモノは借り物で、いつかは返さなければならない


これは羽生さんが映画「アバター」を観て着想した考え方だそうです。


最近では何もしなくてもどんどん物が増えて、自分たちの空間を侵食してきます。そうすると物理的に汚れもたまりやすくなるし生活も停滞していきがちになります。それを防ぐには増えた分物を減らして流動性を保つことが必要なのですが、やはりどうしても物を捨てるのは簡単にはできません。


そんな時「アバター」を観てこの考え方に至り、物を手放しやすくなったそうです。


実際僕もなにか不用品を捨てるときにこれを思い出し「世界に返さなくてはいけない」と思うことで以前より素直に物を片付けることができるようになりました。
自分の管理能力を超えて物を所有しても有効に使えなかったり部屋の隅でほこりをかぶっていたりとその物に対しても失礼ですからね。




以上のように「大局観」は様々なことを考える上で基盤になります。
僕たちも“自分の盤面”だけでなくもっと広い視野で物事を考えられるような「大局観」を養いたいものです。



2016年8月15日月曜日

「レバレッジ・シンキング」本田 直之著



●書名・・・レバレッジ・シンキング 無限大の成果を生み出す4つの自己投資術
●著者・・・本田 直之
●価格・・・1450円+税


今回は「レバレッジ・リーディング」など多数のベストセラーを書かれている本田直之さんの著書です。
本田さんによればこの「レバレッジ・シンキング」とは他のレバレッジシリーズの上位概念で、これを理解することで他のシリーズもより深く理解することができるそうです。


「レバレッジ」とは「てこの原理」のことです。
つまりこの本では、“てこ”のようになるべく少ない労力でより大きな成果を出すための考え方を説明しています。
本文ではこれを「Doing more with less(略してDMWL)」と表現し「DMWLを実践する」ために意識すべきことを「労力」「時間」「知識」「人脈」に分けて説明しています。


①パーソナル・キャピタル(自分資産)は再投資によって加速度的に増える


パーソナル・キャピタル(自分資産)とは自分の「労力資産」「時間資産」「知識資産」「人脈資産」のことで、自己投資によってこれらを構築し、これにレバレッジがかかることで不労所得的に成果が上がっていきます。


どういうことかというと、まず自分資産を増やすことで一定の成果が上がります。たとえばこの成果が時間短縮なら、その短縮した時間の分を再び自分資産構築に回すことでさらに大きな成果をあげることができるようになります。


これは銀行預金などに例えると「複利」のようなものです。増えた利息をそのままにせず、利息分も上乗せして再び運用することで成果は加速度的に上がっていきます。


これと同じように、パーソナル・キャピタルにレバレッジをかけることによって、労力や時間を減らし成果や収入を上げることができるのです。


②時間がないから成果が上がらないのではない。時間が“ある”から成果が上がらないのだ。


知識労働社会に入り、仕事にかけられる時間には際限がなくなりました。かけようと思えばいくらでもかけられるのです。
とはいえ、それではどこまでやれば満足できる仕事ができたのかも判断できないため、自分で期限や基準を決める必要があるのです。


多くの人は時間をかけるほど成果も上がると考えるようですが、実際はある程度成果が上がったらそこから先は一定の成果しか上がりません。
逆にレバレッジをかければ、短時間でも大きな成果をあげることはできるのです。


誰しも、一ヶ月終わらなかった夏休みの宿題を最後の数日で終わらせたことはあると思います。


③知識への投資は単なる勉強ではなく投資なのだからリターンを得るために行う行為


自分の能力をあげたり成果をあげられるようにするために本などを読んで勉強することは大切な知識への投資です。


しかしここで気を付けなくてはいけないのは、例えば本ならば読んだ内容を読んだだけで終わらせないようにしなければならないということです。


文学作品など自身の楽しみのために行う読書なら読んで「楽しかった」で終わらせてもいいでしょうが、自分資産を増やすための読書ならそれではいけません。
本というのは、読んだ内容を実践してこそ意味があるのです。実践するからこそレバレッジがかかり成果につながるのです。


本は読んだだけで終わらせたら約1500円の消費です。しかしそこから金額以上の成果を出せば、1500円は「投資」になるのです。


それに実践した方が、その本の内容をより深く理解できますからね。




このように、とにかくなるべく少ない労力でより大きな成果をあげるDMWLに焦点を当てた内容で、他の本を読んだり仕事をする際にも非常に参考になる一冊です。


あとはこれを実践できるかどうかが、自分にレバレッジがかかるかどうかの分かれ道になります。





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「レバレッジ時間術 ノーリスク・ハイリターンの成功原則」本田 直之著