人生読本~20代からの読書日記~: 「東大から刑務所へ」堀江 貴文 井川 意高 著

2018年3月15日木曜日

「東大から刑務所へ」堀江 貴文 井川 意高 著

今回の本はこちら。



●書名・・・東大から刑務所へ (幻冬舎新書)
●著者・・・堀江 貴文 井川 意高



お互いに刑務所に服役していたホリエモンこと堀江貴文さんと、大王製紙元会長の井川意高さんによる対談本です。

東大の頃のことも出てはきますが、やはり刑務所でのことがメインとなっていてなかなか普段知ることのできない体験談をふんだんに読むことができます。


刑務所は日本の底辺ではあるが、人生の終わりではない


堀江さんは2006年に証券取引法違反の容疑で、井川さんは2011年に子会社の金をカジノにつぎ込んだ会社法の特別背任容疑でそれぞれ逮捕されました。

井川さんは実際に子会社の金を借りてカジノですってしまったのですが、堀江さんは今でも違法性はなく不当逮捕だったと言っています。

といっても二人とも服役していたのは事実。

そのお二人の会話から、普段あまり馴染みのない「刑務所」というところがどういうところなのかが垣間見えてきます。

どこの刑務所であるかや自分の担当がどんな刑務官であるかなどでかなり環境は違うようですが、それでもやはり人権侵害ギリギリのことは多々あり、お二人とも苦労したようです。

そんな経験をした二人は今、まさにこの「東大から刑務所へ」を出したりとかなり表立って活動しています。

このモチベーションは一体どこから来るのでしょうか。


日本人はものすごく忘れっぽい


最近の日本人は誰かが悪者だとなると寄ってたかって叩くという陰湿な民族性が顕著に表れていますが、それと同じように最近の日本人のわかりやすい性質があります。

日本人は、ものすごく忘れっぽいのです。

これはインターネットの出現により社会のスピードが上がったせいもあるかもしれませんが、それにしたって一時期話題になったこともしばらくすると誰も口にしなくなります。

なるべく口にしてはいけないタブーになっている場合もありますが、実際ただ単に忘れられている場合が大多数です。


堀江さんと井川さんは、あえて言うならこの性質を利用して出所後の活動でそれぞれのイメージを変えていっているのです。


本を出し、ロケットを飛ばす


井川さんは出所後に「熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録」という本を出し、堀江さんはロケット打ち上げ事業に力を入れています。

どちらも出所後の活動としてはかなり精力的な気がしますが、その理由もやはり日本人の忘れっぽさにあるようです。


井川さんはこの本を出すことで、単に日本人の記憶から消えるのではなく「なんだかおもしろそうなやつだな」と良くも悪くも人々の記憶に残ることを選びました。

また堀江さんは、出所したのは4年前ですが今では自身の事業のほかにも様々なメディアに出演もしています。

どうせみんな過去のことはすぐに忘れるのだから、新しいイメージで記憶を上書きさせているようです。

特別意図してやっているわけではないでしょうが、実際最近の堀江さんについては元服役囚というよりもいろんなビジネスを行っている実業家というようなイメージが強いのではないでしょうか。

このようにして二人とも出所してからも自分という材料を使い、ガンガン活動しているのです。


まとめ


この「東大から刑務所へ」では刑務所内のことも数多く書かれているのですが、逮捕されて東京地検特捜部に調べられている過程も知ることができるのが興味深い点です。

ライブドア事件に関してはどこかの記者のフライングに影響されて変な時間に強制捜査になったり裁判では堀江さんが全然知らない人が大勢証人に立ったり、井川さんのカジノに関しても実は裏に反社会的勢力が絡んでるんじゃないかと勘ぐって半ば無理やり証言させようとしたりと、この一冊を読むだけでも不合理な調査が常態化していることに驚きました。

またちょうどこの二人の事件の間に大阪地検特捜部による村木厚子さんの冤罪事件などもあったので、検察からの堀江さん・井川さんの扱いに明確に差があったという点も面白かった。


このように「今の日本って、かなり危ないんだな」というもののほかにも、拘置所や刑務所ではどんな差し入れがうれしいのかなどもなかなか知る機会がなく勉強になるところでした(今後この知識を活用する時が来るかは別ですが…)


対談形式で読みやすいこともあり、また普段知る機会の少ない拘置所や刑務所の実情を知ることもでき最近読んだ本の中では特に印象に残り、すぐに読み終えてしまいました。


この二人の本だからということだけではなく、現代日本の危うさを知る上でも一度は読んでおくべき一冊です。





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