●著者・・・鳥原 隆志著
●価格・・・1500円+税
この本はインバスケット思考法の第一人者である鳥原隆志さんが、エリートと呼ばれる人たちの思考法の共通点を「思考の習慣」としてまとめられた本です。
インバスケット思考法とは一種のビジネスシミュレーションゲームで、ある人がいろいろな状況のなかでどのような行動や考え方をするのか観察しその習慣を分析するツールです。
鳥原さんはこのインバスケット思考法を使い多くの企業で研修などを行って対象の人の習慣が「成果の出やすい習慣」なのか「成果の出にくい習慣」なのかを観察しています。
「できる人」や「エリート」と言われる人とはどんな人たちでしょうか?
「できる人」たちは成果をあげます。
ですがただ成果をあげるのではなく、成果を“あげ続け”ます。
そして成果をあげ続けるためには、あげ続けるための習慣が必要です。
「できる人」というのは、この成果をあげ続ける行動をごく自然に、それこそ習慣として行っているのです。
この本ではそのような「成果をあげ続けるための習慣」を、ある若者が成長していくというストーリー形式で紹介しています。
① 「計画する時間を確保する」その日のたった数%でもその時間を取るだけで、成果は見違えるようになる
あなたは一日の仕事を始める際、どのように始められるでしょうか?
始業時間には自分のデスクに着き、その日の仕事にとりかかる…
確かに始業時間には間に合っているのですが、これでは最初から全力を出すことはできません。
では単純に早く仕事を始めればいいのかというと、それはただの早出残業であり根本的な解決にはなっていません。
始業の時は、その時点から自身の最大のパフォーマンスを出せるようにしなければなりません。
そして最大のパフォーマンスをあげるためには「計画」「イメージ」「準備」などの行動が重要です。
学校などの試験も一問目から順番にやるのではなく問題全体に目を通して確実に点を取れる問題から片付けた方が効率よく得点できるように、実際の仕事でもただ闇雲に案件を処理するのではなく、計画を立て優先順位を決めてから取り掛かることで効率も上がり成果も出やすくなるのです。
② カフェで今日の出来事を振り返り、自省したり、モチベーションを保つ方法を考えることで、経験を知識に変えて、自らをさらに向上させることができる
日々の業務に追われ気持ちとしては休む間もなく走り続けている。そういう人も多いと思います。
しかしただがむしゃらに働くだけでは、今よりも効率よく成果をあげられるようにはなりません。
そういう人にはカフェなどの「サードプレイス」と呼ばれる場所で思索に耽ることをお勧めします。
「サードプレイス」とは「自宅でも会社でもなく一人で落ち着いて考えられる場所」のことで、カフェでなくてもいいですし、一人で自分を振り返ることができるのであれば自宅でも会社でも問題ありません。
重要なのはいったん忙しい業務などの日常から離れて、時間を取って自問自答する習慣です。
これは自分を客観視し直す機会であり、いつもはただもやもやしたまま放置している感情を制御したり深く考え結論付けることで自らをコントロールできるようにします。
その中で自分のモチベーションを保ったり、行動を改善する方法を考えることでさらに成果をあげられるようにします。
③ 学んだことを現場で実践する
本を読んだり、セミナーに行ったり、研修を受けたり。
様々な方法で新たな知識やスキルを学んでも、それで満足してしまっては意味がありません。
頭で理解していても、実践できるかどうかは別の問題なのです。
様々な形でインプットした内容は実践しアウトプットすることで本当の自分の力となり、真に使える知識や技法として身に付いていきます。
見た目上のゴール(昇格や合格など)のある研修や試験勉強も同様で、勉強した後にその知識を実践で使って初めて意味のあるものとなるのです。
ひとつひとつの習慣は「こんなの当たり前」と思うようなものばかりなのですが、その当たり前ができている人は決して多くはありません。
そしてこの「当たり前」が本当に当たり前になったときに、成果の出る行動が「習慣」になったと言えるのです。
この本には他にもたくさんの良い習慣が書かれています。
すぐに全部を身に付けるのは難しいですが、ひとつひとつは誰にでもできる些細なこと。
少しずつでも、「成果の出続ける習慣」を身に付けていきたいものです。