人生読本~20代からの読書日記~: 「伝え方が9割」佐々木 圭一著

2017年1月8日日曜日

「伝え方が9割」佐々木 圭一著

今回の本はこちら。

 

●書名・・・伝え方が9割

●著者・・・佐々木 圭一著

●価格・・・1400円+税

 

この「伝え方が9割」は「人にものを伝えるのが苦手だった」と自認する著者が、自分の感動した多くのコトバから見つけた共通点を体系化し確立した「強いコトバ」を作る技術がたくさん詰まった一冊です。

 

私たちが普段話している言葉は、同じ内容であっても伝え方によって相手の答えが変わってしまうほどの力を秘めています。

 

しかしそんな大切なものの伝え方・言葉の使い方のほとんどは学校で習うものではなく普段の生活の中でなんとなく身に付けていきます。

つまり誰もが「自己流」なのです。

 

相手の答えを変えてしまうほど大切なものの伝え方を誰もが自己流で済ましているのですから、この本で体系化されている技術を学んで日常生活で活かすだけで頭一つ飛び出ることができます。

 

特に以前よりも個人発信力が求められる現代こそ、これら伝え方の技術が必要なのです。

 

① コトバはあなたが思っているより、もっと自由

 

コトバには「正しい」使い方があります。たとえば、

 

「愛している」


「愛してる」

 

これはこの「伝え方が9割」に載っている例ですが、日本語としては上の「愛している」が正解です。

ですが、「愛してる」といった方がより「伝わる」場合もあるのです。

「愛している」だと一文字多い分勢いに欠け、少し回りくどく感じてしまうかもしれません。

 

とはいえ(そういえば僕の)俳優という観点から言うと必ずしも「愛している」が伝わりにくい表現ということでもありません。その時の状況やいう人の性格も含めて考えれば、もしかしたら「愛している」の方が伝わりやすい場合もあるかもしれません。

 

何が言いたいかというと、「正しい」と「伝わる」は別である、ということです。

 

そしてこの「伝え方が9割」では「伝わる」表現に重きを置いています。

 

あくまでコトバは道具であり、使い方は私たち次第で変えてもいいのです。

そもそも言葉とは変化するものであり、平安の昔から「最近の男女はことばづかいがあやしい!」と言われていたのですから。

 

② 人は「決断」が得意ではないのです。一方で、人は2つの選択肢があるときの「比較」が得意です

 

頼みごとをしたときに相手に「イエス」と言ってもらう確率をあげるための方法のひとつです。

 

人は「決断」するのが苦手です。大切だとは思っていても、しばらく考え込んで答えを先送りにしてしまいがちです。

それに、相手からの一方的なお願いだったらよっぽど好奇心旺盛な人でもない限りそう簡単に「イエス」とは言ってくれないでしょう。

 

例えば

 

「デートしてください」

 

この頼みごとをした人の勇気は素晴らしいと思います。自分の想いが素直に表現されていて、好意は伝わってきます。

でも、最初から相手が自分のことを好きでもない限り断られる可能性の方が高いのではないでしょうか。

 

これを、相手の好きなものという情報も計算に入れたうえで

 

「驚くほど旨いパスタの店と、石釜フォッカッチャの店、どちらがいい?」

 

こうするとどうでしょう。もちろん両方とも相手の好物です。

 

最初のストレートなお願いよりも、どちらかを選んでくれる可能性は上がったのではないでしょうか。

そしてこの場合目的がどちらも同じ「デートしてください」だとすれば、結局どの店を選ばれてもデートはできて目的を達成できるのです。

 

人は決断するのは苦手ですが、二つあるものを並べて比較するのは非常に得意です。

そして「こちらがいい」と比較して自分で選択すると「決断した」と錯覚します。

 

この習性を利用して、自らのお願いを聞いてもらうのです。

 

また上記のデートの例の場合、最初の「デートしてください」ではお願いの中に自分にとってのメリットしか含まれていません。

ですが二つの店を提案した方では、両方相手の好物なので自分だけでなく相手にとってのメリットも提示しています。

 

自分にもメリットがあると思えば、「イエス」行ってくれる可能性は自ずと上がりますよね。

 

③ 「ノー」を「イエス」に変える技術の答えは、相手の中にあります。

 

今のデートの例のように、相手の好きなこと、あるいは嫌いなことを想像してコトバを作ることで「ノー」が「イエス」になる確率はぐんと上がります。

 

これは特定の誰かに対するお願いだけではなく、不特定多数が対象となるポスターやトイレの張り紙などにも当てはまります。

 

以前は「トイレはきれいに使ってください」と書いてあったのに最近では「いつもトイレをきれいに使って下さりありがとうございます」というような言葉に代わっているのを見たことがある人も多いと思います。

 

これも最初は自分(店側)の都合だけでお願いしていたのを相手の心(感謝されると嬉しい)を想像したうえで変更したものです。

こうした表記は増えているようなので、実際に効果も上がったのではないでしょうか。

 

「お願い」は相手の心の中を想像してコトバを作る。

つまり「お願い」はあなただけののコトバではなく、あなたと相手との共同作品なのです。

 

 

この「伝え方が9割」には他にも多くの「ノーをイエスに変える技術」や言葉そのもののインパクトを強くするための技術が載っています。

 

どれもわかりやすい例と共に載っていてその効果に驚かされるのですが、読んでいて伝わってくるのは「コトバはひらめくのではなく、作れる」という著者の想いです。

 

そこには確かな技術があり、より相手に伝わる方法を自分で作ることができる。

 

その技術を駆使して、私たちの人生に訪れる多くの分岐点において相手の「ノー」を「イエス」に変え、素晴らしい人生にしていきましょう。

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