●書名・・・一流の時間の使い方62
●著者・・・中谷 彰宏著
●価格・・・1300円+税
この「一流の時間の使い方」は、いわゆる“一流”と呼ばれる人たちと“二流”と呼ばれる人たちの違いを「スピード」という観点から浮き彫りにし、一流の人たちは「時間」や「スピード」というものをどう捉え扱っているかということがわかるように書かれています。
1項目2~4ページほど、全部で62項目の時間の使い方や時間に対する一流の考え方が具体的に書いてあり、構成としても読んですぐ実践するのに適した形になっています。
この「一流の時間の使い方」はまず冒頭に「この本は、3人のために書きました」として読者のターゲットをはっきり書いています。
- 時間に追われる毎日から、余裕を持ちたい人。
- 時間を生み出して、好きなことをしたい人。
- テンポを速くして、一流の人になりたい人。
つまり著者としても、この本の内容を我々がただ読むだけでなく実践してそれぞれの生き方に影響を与えることをゴールにしているのです。
それらを心に留めて読めば、「時間」という観点を軸に一流の人たちの行動力の源を学ぶことができるでしょう。
① やる気とは、スピードだ
仕事や勉強など、人生で何をするにおいてもやる気とは重要な要素です。
しかし多くの人はやる気について勘違いをしていると著者の中谷さんは指摘しています。
若手とかだと「やる気はあります!」と元気の良い印象を与えることはできるかもしれませんが、本当はそれではやる気の表明にはなりません。
やる気が見えるようにするためには、とにかく一歩でも二歩でも速く行動することが重要です。
たとえば知ってはいるけど普段なかなかお会いしないような人に会ったとして
「何かあったら是非お願いしたいんです」
というより
「実はこういう企画を考えているんですけど」
という方が圧倒的にやる気を感じます。
そのためにはその人に会えるかもわからないのに普段からその企画を考えておかなければなりません。
それこそが大事なのです。
無駄になったら嫌だからと何かが決まってから動こうとする人は、それだけ出だしが遅くなります。
たとえ無駄になっても構わないからと先に先に準備しておくことで、やる気とは表に出てくるのです。
この本とは関係ありませんが、僕の好きな言葉で
「明日はなんとかなると思う馬鹿者。今日でさえ遅すぎるのだ。賢者はもう昨日済ましている」
というのを思い出しました。
気合や手土産では、やる気を表すことはできないのです。
② 一流の人にとって、ノルマは「これ以上やっちゃダメ」というものです。
僕はこの文章を読んだとき、天地がひっくり返るような感覚を覚えました。
二流の人にとって「ノルマ」という言葉は「ここまでやらなければいけないもの」という意味を持っています。
たとえば、月に30冊の本を読むことを目標にするとします。ノルマは30冊/1か月です。
これだと、たとえ初日に2冊読んだとしても目標まで28冊足りません。
こういう考え方では精神的にも追い詰められていきますしペースもなかなかつかめません。
こういう時は、目標(ノルマ)を1日ごとに分割します。
するとざっくり1か月30日だとして、1日に1冊読めば目標は達成できます。
ノルマは1日1冊です。
こう考えると、1日に2冊読んだ場合予定に対して自分が巻いている(予定よりも速いペースになっている)という感覚になるので余裕も生まれ、小さな達成感を得ることができます。
また、全体のペースを把握することでやりすぎも防ぐことができます。
いくら早くノルマを達成したいと思ったからと言って読書ばかりしていては他のことに支障をきたす恐れがあります。
このように「ノルマ」というものの捉え方を変えることで、物事への取り組み方そのものが変化していくのです。
③ 勉強や習いごとや仕事、なんでもいいから形になるまで10年単位の時間がかかることをやっている人は、時間の使い方がうまくなります。
どんな仕事も10年やって一人前、なんて言われますが、日常生活ではついつい目の前の仕事をこなすことにのみ集中してしまいがちです。
しかし、そもそも10年単位で時間をかけるつもりでやると、結果に大きな影響を与えることになります。
この違いは、長期的な視点に立っているかどうか、ということ。
どのようなことでも、長い期間続けようと思えばそこに様々な工夫も必要だし、作業を効率化していったりもするでしょう。
そうすることで結果的に時間の使い方が磨かれていき、また物事を持続する力もついてくるのです。
この「一流の時間の使い方」では、一貫して「スピード」の重要性が説かれています。
ですがそれはただ単に作業スピードを上げるということだけではなく、スピードを上げるための準備が重要ということでもあります。
一流の人も二流の人も同じ人間ですから、作業の速さというものはそれほどあげられません。ほとんどは準備の差でスピードが格段に変わります。
普段からどれだけ準備できているか。暇なときに何をしているかにかかっているのです。
また自分のスピードを上げるということは、同じ仕事に関わる他人の時間も尊重するということです。
この本ではそういった他人の時間を尊重する気持ちも随所で感じることができます。
自身の作業が遅いだけならいざ知らず、他人の時間も奪うようなことしていては到底一流になることはできません。
無意味な飲み会に誘ったりと直接時間を奪うことでなくとも、チームワークが大半になった昨今では自分の仕事が遅いだけで周りの人にも多大な迷惑をかけてしまうことがままあります。
そんな時、ただスピードを上げるだけで他人を尊重することにもなり評価も上がり、何より自分に余裕ができさらにスピードを上げる工夫ができるようになるのですから、やらない手はありません。
著者の中谷さんも書いていますが、本は目的ではなく手段です。
読むだけではなく、実践して初めて意味のあるものとなります。
具体的な方法がたくさん載っていますので、ぜひ自分の生活に活かしていきたいものです。
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