●著者・・・服部 周作著
●価格・・・1500円+税
この本は、著者である服部さんご自身がコンサルティング会社のマッキンゼーで働いていた経験から、マッキンゼー社内外のリーダーがさりげなくこなしている効果的な手法を「47原則」にまとめたものです。
どんな分野でも、突出して仕事ができる人たちには共通して実践している仕事のやり方があります。
僕たちもそれらを実践することで、個人のスキルアップからチームでのコミュニケーションや成長、生産性の向上まで、ビジネスに限らず様々な場面での重要な能力の向上を図れます。
ひとつずつ実践し習得することで、自分も「突出して仕事ができる人たち」に近づいていけるのです。
① 自分の目標を熟知していると、より良く、より早く、より果敢に仕事を進めることができます
どんな仕事にも何かしらのゴールがありますが、もしこの時の最終形態が全く分からないまま積み上げ式でコツコツやるだけだと、実はやる必要のなかった無駄な仕事にも膨大な時間や労力を浪費してしまうことにもなりかねません。
そのような事態を避けるためにはその仕事に取り掛かる始めの段階から、その仕事のアウトプット、最終形態をはっきりさせておく必要があります。
また、もし最初から大成功がわかっているプロジェクトがあるとしたらあなたはそのプロジェクトを遂行するでしょうか?
聞くまでもないことかもしれませんが、最初から成功することがわかっているならたとえつらく多くの困難があるとわかっていても乗り越えようとする可能性の方が高くなるはずです。
だって成功するんですから。
このように、目標というゴールを熟知していることは無駄を省く効率化のみならず、モチベーションを上げる起爆剤としてもとても重要なのです。
② 10個を受け入れて60%の成果を上げるより、3個に関して120%の成果を上げる方が絶対にいい。
突出して仕事のできる人たちは、みんな断り上手です。
人間の一日の時間はみんな平等に24時間しかありませんし、労力も無限ではありません。
頼まれるすべてを受け入れていては大事なことをないがしろにし大事ではないことにも半端に力を割くことになり、成果が上がらないのにへとへとになっているということにもなりかねません。
そうならないためには、大事ではないことは断り、大事なことに自分の時間や労力というリソースを集中するべきです。
これは個人に限らず、チームにも同様に言えます。
仕事を頼まれたらすぐに着手するのではなく、まず“なぜその仕事が必要なのか?”を考えることで、実はやらなくてよかったりもっと楽な方法が見つかるかもしれません。
それに目的が妥当でも効果が薄いなら、やるべきでないかもしれません。
このように重要なもので大きな成果を上げることで、生産性も上がりますし自分たちの評価も上がりやすくなるのです。
③ リーダーがもたらす最大の価値とは、さまざまな問題と取るべき行動を「ひと口大に細かく切り分ける」こと、つまり、他の人が言葉で理解できるように示すこと。
自分がリーダーという立場になれば、チームのメンバーに仕事を振ることが必要になります。
でも中には、思っていたようには成果を上げてくれないメンバーもいるでしょう。
この場合、原因はそのメンバーが無能だからでしょうか?
もしかしたら、リーダーである自分が相手に理解できるように説明できていないのかもしれません。
たまに「何度言ったらわかるんだ!」と怒っている人がいますが、そもそもわからないことを何度も言われてもいつまでたってもわかるようにはなりません。
同じことを何度も言うより、別の言い方のアプローチを考えるべきです。
その人にはどう言ったら伝わりやすいのか、またどのような適性があるのかを知るためには日頃からの観察と能力の把握が重要になってきます。
適切な仕事を振ることで初めて適切にその人を評価することができ、チームとしての生産性も向上していきます。
この「47原則」はもともと著者が個人的に書きためていたものを同僚からのアドバイスにより書籍として出版することになり、あらためて練り直されたそうです。
そのため、どの原則も様々な分野で応用できる汎用性の高い表現にまとめられています。
著者の服部さんご自身ですら「自分ももっと若い時に知りたかった」と書かれるほど、卓越した内容になっています。
そんなこの本から伝わってくるのは、仕事に受け身でいるのではなく、“自ら”生産性を上げる強い意志です。
ひとつひとつの原則はそれほど複雑ではありませんが、習得はすぐには難しいでしょう。
それでもひとつずつ実践していくことで、自分も「突出して仕事ができる人たち」に近づいていくことができます。