●書名…1分間バフェット お金の本質を解き明かす88の原則
●著者…桑原 晃弥
誠実さに裏打ちされたバフェットの人物像
投資に興味を持ち始めたら必ずどこかで知るであろう人物、ウォーレン・バフェット。
子供の頃から小さなビジネスを始めて資産を運用し巨万の富を築いた、投資の世界の巨人です。
バフェットについての本は数多く出ていますが、この「1分間バフェット お金の本質を解き明かす88の原則」はバフェットについての様々なエピソードをそれぞれ1分間で読める程度にまとめられた、非常に読みやすい構成で書かれています。
投資で儲けた、というとなにかずるい方法や不正ぎりぎりの方法をも駆使して荒稼ぎした…なんて思うかもしれませんが、ウォーレン・バフェットに限ってはそういう後ろ暗い方法とは全くの無縁です。
むしろ他の投資家たちから見たら過剰なほど不正を嫌う、誠実な人物。
そしてその誠実さは法律的な物に限らず、扱う株式銘柄の企業やその企業の先にいる顧客達にまで向けられた広く深いものなのです。
「知性、エネルギー、そして誠実さ。最後が欠けていると、前の二つはまったく意味のないものになる」
バフェットは偉大なまでに誠実であったがために、巨万の富を築くことができました。
投資の世界ではある日いきなり億万長者になることも夢ではありませんが、誠実さを欠いていればその富もすぐに崩れ去ってしまいます。
アメリカの金融の中心であるウォール街などではとにかく利益を求めてマネーゲームを繰り返す投資家も多いですが、バフェットはそれらの投資家とは一線を引いています。
なぜならそのような強欲な姿勢は、自分たちの利益のために世界の経済状況を混乱に陥れることさえあるからです。
バフェットにとってそのようなやり方をする人たちは”投機家”であり、バフェットにとっての”投資”は主に株式の長期保有です。
それは株の売買によって利ザヤを稼ぐのではなく、その企業を信頼し未来に期待して、自分もその企業に協力するという考え方だからです。
そうして信頼の上に関係を築いていき、誰もがうらやむ大富豪になることができたのです。
「ライン上がダメなのはもちろん、ラインに近くても違反とみなす」
2006年、アメリカの多くの企業がストックオプション(自社株購入権)の付与日を不正操作して大きな問題となりました。
ストックオプションとはその会社の役員や従業員が決められた価格で自社の株を買うことができる権利のことで、売却するときに市場価格との差が利益となるため現金と別の報酬体系として導入されることがあります。
この付与日を不正に操作し株価が安い日にして利益を増やす…といったことがありました。
もちろんバフェットの持つバークシャー・ハザウェイ社はそんな不正と無縁でしたが、それでも傘下の企業に「ビジネスの世界で最も危険な言葉は、五つの単語で表現できます。『他の誰もがやっている(Everybody else is doing it)』です」と念を押して呼びかけました。
またソロモン・ブラザーズの国債不正入札の時も「ライン上がダメなのはもちろん、ラインに近くても違反とみなす」と社員に言い、違反すれすれも許さないという姿勢で厳に戒めたのです。
まとめ
バフェットは、他の投資家と同じやり方ならもっと資産を増やすことも出来た状況でもそうはせず同僚から「意図的に利益を抑えていた」と言われるほど堅実に自分のやり方を貫き通している投資家です。
それはたとえ儲かりそうな話でも自分が理解できない業界には一切手を出さないといった自分自身に対する誠実さでもあり、また利益が出ればなんでもいいというような考え方を排した他の株主や顧客に対する誠実さでもあるのです。
この「1分間バフェット お金の本質を解き明かす88の原則」はそんなバフェットの誠実な人物像がわかりやすく、また短時間でも読みやすい形で書かれています。
この本をきっかけにバフェットの思考をさらに深く読み解き自分の生活に応用していくことは、少なからず成功への確かな近道となることでしょう。
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