人生読本~20代からの読書日記~: 「自分の時間 1日24時間でどう生きるか」アーノルド・ベネット著 渡部昇一訳

2016年8月1日月曜日

「自分の時間 1日24時間でどう生きるか」アーノルド・ベネット著 渡部昇一訳


●書名・・・自分の時間 1日24時間でどう生きるか
●著者・・・アーノルド・ベネット
●価格・・・1200円+税


この本は1908年にイギリスで紹介された記事から始まった、内容としてはかなり古い部類に入る本だと思います。しかしそれだけ時間が経っても「1日24時間でどう生きるか」というテーマは、いまだに模索している人が多いのではないでしょうか。


本文は140ページほどでこの手の本としては少ないように感じるのですが、読むと己の(主に仕事以外の)時間を制する方法がまさに宝の山のように溢れています。




ではこれからその宝の一部をご紹介したいと思います。


①朝、目覚める。すると、不思議なことに、あなたの財布にはまっさらな24時間がぎっしりと詰まっている。


これはこの本の序盤でかなりしっかり述べられている考え方の基本みたいなものなのですが、個人的にはこの表現がかなり好きです。


我々はお金についてはある程度細かく自分の持っている範囲について考えるのですが、どうやら時間については違うようです。
1日には24時間しかない。そうわかっていても、その使い方を考えて迷っているうちにいつの間にか思考が停止してどんどん浪費している。常に「もう少し時間があったら」といいながら、その実24時間を充分に生きているわけではないのです。


著者は毎日の”時間の与えられ方”について「奇跡が起こっている」と言っています。


時間はお金とは違いだれも取ったり盗んだりできないし、全員平等に朝起きるとそこからの24時間という1日が始まります。そしてこれは誰からも取られないのと同様、自分でも前借することなどできません。
我々にできるのは、常に今目の前にある現在という時間を使っていくことだけ。


これまでにどれだけ時間を浪費していようと、これからの24時間は常に自分の前に用意されています。


この意味で著者は、「その気になればいつからだって新規巻き返しができる」と述べています。
そしてそれは「明日まで待つことすら、なんの意味もない」ことと同義です。


これらを意識したうえで1日24時間で健康も楽しみも、金も満足も尊敬も得ていかなければならないのですから、人生の全ては時間の利用の仕方次第で決まるのです。


②習慣を変えるなら、あまり大きなことは公言せず、さりげなく始めなさい。


ではいかにしてその時間を利用していくのか。
著者は主に仕事から帰った夜の時間で、何か精神を向上させるような意義のあることを継続してやっていくことを勧めています。


そして手始めに週に3回、90分ずつだけ興味のある分野の勉強などに費やすことでそのほかの時間も、仕事をしている時間さえも今までより情熱が湧き生き生きと暮らせるようになると述べています。


この週に3晩と毎朝30分、合わせて一週間で約7時間半をつかって自分の精神と頭脳を磨いていく作業は決して「ささやかな努力」ではありません。


これを今までの生活に組み込むためには習慣を変える必要があります。
ですが習慣を変える際、一気に変えようとすると最初は情熱にあふれているのですが、ある時疲れが一気に出てなんの成果も出る前に頓挫することにもなりかねません。


これを避けるためには、とにかくささやかなことから始めるのが重要なのです。


③よく読むと同時によく考えよ


上記にある夜の90分間でやることのひとつに読書がありますが、それについてこの著者は文学以外、特に詩を読むことを勧めています。その理由として、読書は頭を使って考えながら読むことで精神を向上させるからだそうです。


これは決して文学を下に見ているためではなく、質の高い文学作品ほど頭を使わなくても書かれている情景がありありと浮かんで楽しめてしまうからだそうです。


努力して読むからこそ糧になる、ということです。








このように「自分の時間」には短めな本文に対し我々の生活に応用できる知識が豊富に書かれています。


書かれた当初、1908年のロンドン市民も毎日時間に追われ大変だったのでしょうが、21世紀の現代人こそ「自分の時間」についてもっと真剣に考えるべきなのではないでしょうか。


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