●書名・・・エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする
●著者・・・グレッグ・マキューン
最近漫画版も出版された、ビジネス書の良書です。
インターネットやスマホの普及により人々が得られる情報は増えコミュニケーションの速度は格段に上がりましたが、そのスピード感の中で消耗し自分が今何をしているのかさえ把握しきれないほど忙しい人が続出しています。
この本ではそんな複雑で煩雑な多くの物事の中から本当に重要なものに自分の時間やエネルギーを集中して投資するための思考法、「エッセンシャル思考」を教えてくれます。
今、自分は正しいことに力を注いでいるか?
世の中にはありとあらゆる選択肢やチャンスが転がっています。
しかもその多くは魅力的なもので、実際に大きな結果がついてくるものも数多存在します。
目の前に現れたチャンスについ飛びついてしまいがちですが、本当にそれでいいのでしょうか?
たとえそのチャンスが魅力的なものだとしても、今の自分にとって本当に重要なものなのでしょうか?
多くの人は深く考えずチャンスに飛びつきます。
いや、本人は考えているつもりでも、それが目の前に現れてから考え始めては間に合いませんし、そもそも忙しすぎて深く考えるほどの時間がない場合がほとんどです。
そして人には様々な制限があります。
それは日々の時間だったり、自分のエネルギーの上限だったりします。
そもそもリソースの限界があるのですから、無駄なことに時間やエネルギーを浪費しないように常に自分が正しいことに自分の力を注いでいるかを意識しなくてはならないのです。
「全部手に入れよう、全部やろう」とするうちに、私たちは知らず知らず何かを失っている
それに、無数のことを全部やろうとすることには明確な、そして大きなデメリットもあります。
たとえば、100の方向に1cmずつ進むとします。
これではひとつひとつの向きには当然ですが1cmしか進めません。
しかしもし同じ時間とエネルギーをかけて、たった一つの方向に進んだらどうなるでしょうか。
これまで100方向分に進んでいたエネルギーを集めると100cm=1m分も進むことが可能になります。
これは仕事や作業も同じで、多くのことを並行してやろうとするとどうしても集中力が散漫になりますし、時間も少しずつしかかけることができません。
時間もかけず集中もできない仕事にいったいどれだけの成果が出るでしょうか?
そして僕たちの自分の仕事に対する想定はどうしても甘くなってしまいます。
つまり、何かを実行すると常に自分の予想より時間がかかってしまうのです。
これが100個の仕事それぞれに起これば時間やエネルギーの浪費はますます大きくなり成果は出なくなります。
様々なことを一緒にやろうとするのは、それだけ無駄も多くなるのです。
絶対にイエスだと言いきれないなら、それはすなわちノーである
では、時間やエネルギーの無駄遣いをなくすためにはどうしたらいいでしょうか。
答えは単純。
本当に重要なこと以外をすべて切り捨て、その分のエネルギーを残った重要なことに振り分ければいいのです。
しかしプライベートな用事でも業務上のことでも、全く重要でないことというのは実はそんなにありません。
どれもそこそこ重要に感じられるから引き受けてしまうのです。
これこそが僕たちの時間やエネルギーを奪っていく元凶。
この"そこそこ重要な案件"をどんどん切り捨てるためにはどうしたらいいのでしょうか?
それは、「採用基準をとことん厳しくする」ことで可能になります。
というか、そうしなければ無理です。基準が甘いとどんどん浸食されます。
なんとなくやりたいことではなく、どうしてもやりたいことをやる。
どうしてもと言いきれないのならそもそも受け入れない。
これくらいやって初めて自分に考える時間的余裕が生まれるし、本当に重要なことを見極めることができるのです。
より少なく、しかしより良く
エッセンシャル思考とは多くの物事をうまいこと成し遂げる技術ではありません。
エッセンシャル思考とは本当に重要な数少ない物事について、最大限の成果を出せるように自分のリソースを効率的に配分する技術です。
より少なく、しかしより良く行うための思考法なのです。
またエッセンシャル思考とは何か問題が起きた時にその対処法として用いるような類のものではありません。
常日頃、普段の生活から「より少なく、しかしより良く」を実践することがエッセンシャル思考なのです。
本の中ではエッセンシャル思考を
- 見極める
- 捨てる
- しくみ化する
という三つに分けて説明しています。
これらの技術を習得することで僕たちは膨大な"重要じゃないこと"から解放され、"重要なこと"で最大の成果を継続して出す方法を身につけることができるのです。
この「エッセンシャル思考」は何を行うにしても絶対に必要な考え方で、かつ一番初めに習得することでその後の作業で成果が出やすくなります。
情報が溢れ、あらゆるチャンスに手が届く現代だからこそ、この本を読む価値は限りなく大きいのです。
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