●書名・・・400のプロジェクトを同時に進める 佐藤オオキのスピード仕事術
●著者・・・佐藤 オオキ
スピードは質に転化する
佐藤オオキさんはデザインオフィスnendoの代表で、世界的に活躍されているデザイナーです。
デザイナーといってもその仕事内容は多岐にわたっていて、いわゆる商品のデザインの他に店舗のコンセプトや販売戦略、企業のロゴまで考える等様々。
それら膨大な仕事の中で、佐藤さんが特に重視しているのが”スピード”です。
もちろんクォリティは大事ですが、スピードを上げることで結果的に仕事のクォリティも上がっていきます。
”スピード”は、”質”に転化するのです。
成長の”正のスパイラル”に突入する
スピードを上げるとなぜ仕事の質まで上がるのでしょうか?
それは
- スピードを重視し予定より早く仕上げる
- 関係者が喜び依頼が増える
- 仕事の幅が広がる
- 経験値が上がり自分が成長することでさらにスピードが上がる
という正のスパイラルに突入することができるからです。
いったんこの流れに乗ってしまえば、あとは螺旋階段を上るように成長していけば自ずと仕事の質も向上します。
個別の案件についても締め切りより早めに仕上げることで万が一失敗したり修正が必要になっても時間に余裕が生まれ、質が向上します。
またスピードを上げる工夫として情報収集をしっかり行ったりブレの無いコンセプトを共有したりするので、その過程でも全体のクォリティが上がっていきます。
地道に2~3倍ではなく、工夫して5~10倍
スピードを上げるといっても、いつも通りの作業をただ手を速めて頑張るだけではそんなに効果は上がりません。
それでは2~3倍くらいにはできるかもしれませんが、例えばnendoの400ものプロジェクトなどはとてもさばけないでしょう。
そこまでは行かなくとも普段の5~10倍の仕事量をこなすにはどうしたらいいか。
これはもう、やり方を抜本的に見直す必要が出てきます。
そのスピードアップを果たすために佐藤さんはこの本で、”同時処理能力”が重要だと語っています。
手を動かす速度が同じでも、同じ時間で5倍、10倍の量の仕事を処理できれば全体での速度は上がっていることになります。
しかし実際に同時にいくつものことをやるのは自分一人では不可能なので、それができる工夫や環境づくりが特に大事です。
他にも、やらないことを決めることで実際にかかる時間を大幅に減らすことも重要です。
nendoではプレゼン用の試作品を作ることも多いそうです。
この時たとえば、色が3種類、形が3種類、手触りが2種類あるものを作ろうとすると全部で18種類の試作品を作る必要がありますが、全てを作る時間がない場合はどうするのでしょうか。
そのプレゼンで何が重要かしっかり把握していてたとえば「形の違いはコンピューター・グラフィックで見れば十分判断できる」と考えられれば、作る模型は6種類で済みます。
やることを減らして同じゴールにたどり着くことができれば、それは結果的に時間を短縮したことになるのです。
また、最初から予想されうる失敗やリスクについてしっかり対策を考えておくことも、いざ失敗したときに迅速に行動でき、全体のスピードアップにつながります。
最初からプロジェクト全体の方向性を共有することであとから不満が出ないようにすることなども、余計に時間がかかるリスクを回避することになります。
まとめ
佐藤オオキさん自身がデザイナーということもあって、この本では過去に佐藤さんが手がけたデザインの仕事も多数載っています。
写真も載っていてどれも素晴らしいものばかりなのですが、そのデザインに至った過程は他のどんな仕事でも応用できるものばかり。
スピードを上げることでクォリティもどんどん上がっていく過程は、読んでるこっちまでワクワクしてきました。
デザインというものを土台に、”成長の正のスパイラル”に突入するためのヒントがふんだんに詰まった一冊です。
”自分の仕事のスピード感”に悩んでいる人は、是非一度読んでみることをオススメします。
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